おすすめの山
今回は「悪沢岳」紹介しましょう。国土地理院地図には東岳と表記されていますが、深田久弥の著書「日本百名山」-新潮社-によると、「読者にお願いしたいのは、どうかこれを東岳と呼ばず、悪沢岳という名で呼んでいただきたい。」と紹介されています。今年、南アルプスの孤高の峰「悪沢岳」を訪れてみませんか。
おすすめのコース
(行程)
1日目 新倉-伝付峠-二軒小屋(冬期小屋泊)
2日目 二軒小屋-マンノウー沢の頭-千枚小屋(冬期小屋泊)
3日目 千枚小屋-千枚岳-悪沢岳-千枚岳-マンノー沢の頭-二軒小屋(冬期小屋泊)
4日目 二軒小屋-伝付峠-新倉北アに比べ、冬に天候が安定する傾向の南アですが、ひとたび荒れると3000mの稜線は全く行動が不可能になります。特にこの山域は人里までは、伝付峠を越えるか、椹島まで30キロ近く歩く必要があるので、少なくとも5日間の予備日・食料・燃料は必携です。
コースの特徴
明治19年ごろに完成した幻の道「伊奈街道」の名残である、新倉から傳付峠を越えるアプローチ、マンノー沢の頭に至る急登、千枚岳から悪沢岳に至る風の強い稜線と、特段危険な個所はないが、体力と気力の必要なルートです。
〈冬山レイリング〉
冬山でよくアプローチからジャケットを着用して大汗をかきながら行動する人を見かけます。冬は一度衣類を汗などで濡らしてしまうとリカバリーはほぼ不可能になります。
夏・冬にかかわらず、ウエアリングは「気温」「風の影響」「体が冷える経路別」、それぞれを総合的に判断することにより、効果的に体を守ることが出来ます。
「気温」「風の影響」は気象情報を把握することが大切です。多くの登山者が参考にしている日本気象協会HP tenki.jpの山の天気には山の標高ごとの気温・風速の数値計算結果として公表されています。
気温に加え、「風速1mにつき、体感温度が1度下がる」ことを考慮に入れて、レイアリングを考えましょう。これに加え、冬山では「体が冷える経路別」に対策を立てると効果的です。
① 熱伝導の対策
登山中に冷たいものに触れるのは、手・足と休憩時に座る時でしょう。対策として手袋の用意・断熱性の高いインソールの用意・休憩時の携帯断熱マットが考えられます。
② 対流の対策
登山中の対流と言えばもちろん風です。対策としてはゴアテックスウエアの活用が定番ですが、雪山は荷物も重く発汗量が多いので、より湿気のこもりにくいソフトシェル素材のジャケットもお勧めです。
③ 放射の対策
外気温が低いと登山中にどんどん熱を放出します。気温に応じた服装のレイアリングを心掛けることが基本です。
体感的に特に熱の放出を感じられるのは頭・首・手首・足首ではないでしょうか。
頭は熱の変化に弱い脳細胞を守るため血管が集まり、首と名のつくところは太い動脈が通る場所で共に体温維持に関係する血流の要となる場所です。
ここを効果的に保温するとより薄いレイアリングで行動が出来ます。
④発汗の対策
運動中に着用する衣服の役割は、
▽寒さなどの外部環境の変化から体を保護する。
▽体から出る熱や湿気などの変化に対して、衣服内環境を快適に保つ。
でしょう。体温が上昇すると、服の中の空気の温度も上がり、最初は暖かさを感じますが、体表からは温度調節をしようと汗が出てきます。汗は衣服や体表で蒸発するときに皮膚の温度を奪います。
冬山でいくら厚着をしてもなかなか暖かさを感じないのはこれが原因です。対策として保温性に優れた吸汗速乾性機能素材のアンダーウェアを着用しましょう。
〈冬山の重要アイテム 手袋・ゲイター〉
冬山の重要アイテムである手袋も、凍傷を防ぐためにインナーグローブ+ウールグローブ+オーバーグローブとレイアリングすると効果的です。
特にインナー・ウールグローブは必ず予備を用意して濡れに備えます。
冬山では足回りは、容易にケアが出来ないので、良質のウールソックスを履いて、靴はワンランク上の保温性が高いタイプを選びましょう。
インソールを断熱性の高いものに取り換えるのも効果的です。加えて重要なのが、足首から雪の侵入を防ぐゲイター(スパッツ)です。着ぶくれもしているので、フロントで開け閉めできるものが着脱がしやすくてお勧めです。
ブランド:LACKNER(ラックナー)
品名:ヒマラヤングラブ
価格:¥4,070(税込)
説明:オーストリアで飼育される羊毛で作られたウールグローブ。油脂分を含んでいるので、雪で濡れても保温機能があります。
「備えあれば憂いなし」皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。
悪沢岳(わるさわだけ)
標高3,141 m 日本第6位の高さである。
位置
赤石山脈(南アルプス)中央部にある。悪沢岳(東岳)と前岳、中岳、の3つの総称として荒川岳と呼ばれるが、その最高峰である。氷河によって削られたカール(圏谷)地形が数多く見られるほか、上部は森林限界のハイマツ帯で、非常に多くの高山植物が自生しライチョウの生息地となっている。