2017年6月15日(木) 山開き前の富士山に富士宮ルートで登ってきました!
「山開き前(6月)の富士山はどんな状態なんだろうか?」
単純にそんな疑問から、今回の山行を計画しました。
気になったなら実際に行ってみるしかないじゃない!ってことで行ってきました。
ちなみに私は富士山にはここ近年ですと、毎年7月に登ってます。
気になる今年の山開きの時期なんですが、昨年同様、[吉田ルートが7月1日山開き] で
[他3ルート(須走・御殿場・富士宮ルート)は7月10日山開き]となってます。
※注意※
山開き前の富士登山は、
・小屋が開いていない(もしもの時の休憩や補給ができない)
・トイレが開いていない(携帯トイレは必須)
・気象条件が一層厳しい(気温が低い風が強い)
・雪が残っている(冬山装備が必要)
などなど・・・・・・・・標高の高さも相まって、初心者の方や、体力・装備に不安がある方には厳しい条件の登山となります。
毎年、山開き前の富士登山において、遭難や怪我(死亡者)が多発しています!
相応のリスクが伴うということを、肝に銘じておきましょう!
前置きが長くなりましたが・・・・・
今回選んだ『富士宮ルート』は静岡県側から登るルートの1つで、
五合目(スタート地点)の標高が4ルートの中で一番高い(富士宮口新五合目:約2400m)ので、山頂までの歩行距離が短いです。
それと、富士山の最高点である『剣ヶ峰(3776m)』に一番近いというのも魅力の一つになっています。
まだ薄暗い中スタートします。ヘッドライトを頼りに歩きます。
気温は5℃。
富士宮ルートは山頂までの距離が短い分、その中で高度を稼ぐので全体的に斜度がキツめです。
スタート地点で標高2400mある訳ですから、高所に慣れてない体で、スタートから気合入れて登るとしんどいです。
『高所順応』を意識して五合目で少し体を慣らしたり、歩き始めはペースをセーブしましょう。
ちょっと分かり辛いかもしれませんが、岩肌に霜がおりてます。寒い・・・・・。
新七合目辺りまで登ってきたところで、風も吹いてきたので手元の温度計を確認したら2℃を記録。
防寒対策しとかないと、登山どころじゃなくなりますよ(手とか首とか耳にも防寒対策を用意しておきましょう!)
ひたすら岩がゴロゴロした道を登っていきます。
すっかり明るくなって、太陽もようやく顔を覗かせてきました。相変わらず寒いですが。
富士宮ルートは、足元が沈み込むような砂利道はありませんが
全体的に岩がゴロゴロしてますので、足の置き場に注意しましょう。
池田館(八合目)に到着して奥に進もうとすると・・・・・・・・・
突如として登山道に雪が出現。
小屋を抜け、角を曲がってからいきなり現れたので「うぉいっ!」ってリアクションになりました。
「今年はどこの山域にも雪が多いから、どこから(雪)出てくるかな~?」って思ってたんですが、インパクトのある登場でした。
ここからだと先の状況があまり見渡せなかったので、ここでザックを降ろして冬山装備を取り出しました。ちなみに気温は0℃。手袋外したくない・・・・。
ヘルメット、アイゼン(12本爪)、ピッケル、厚手ロングスパッツ(スタート時から装着)など。
勿論登山靴も、前爪付きアイゼンに対応した残雪期対応のマウンテンブーツです。
「どんな状況か判断が難しい場合は、悪い方の状況を想定する」のが装備選択の基本だと思ってしっかり準備してきました。
山開き前の富士山なら尚更でしょう!
万全の態勢を整えていざ雪渓へ・・・・・・・・・って思ったら、
ちょっと進むと横に夏道がありました。まだ一部は雪がミックスされてますが、
雪渓には踏み跡もあるので、アイゼン無しでも池田館(八合目)~胸突山荘(九合五勺)までならそこまで苦労ずに行ける感じでした。
ここは良い方向に予測が外れたということでヨシとします。
勿論時期がもっと早ければこうはいかないです。
それで私はというと、折角アイゼン付けたことですし、そのまま雪渓を直登してみました。
斜度はありますがピッケル使いながら確実に登っていきます。
ここら辺の雪渓の状況は、その年の積雪量とかで大分違ってくると思います。
そして山頂手前の胸突山荘(九合五勺)に到着。
写真では分かりませんが、山頂付近に木の鳥居が視認できたので、
「あそこが山頂かー」って思いながらルートの確認をしていました。
先に進んでいくと先行者と踏み跡を発見。
どこを進めばいいか分かり辛かったので助かりました。
ここの雪渓は、かなりの急斜面です。
12本爪アイゼン+ピッケルで確実に雪面にグリップさせながら登っていきます。
先行してた人はアイゼン付けないで登ってたと記憶してますが(ピッケルは所持してました)、大分登るのに苦戦されてました。
装備や歩行技術に不安がある方は山頂を目前にしてアレですが、
リスクを考えると「ここで引き返す」という選択も考慮する必要があると思います。
雪渓を通過後は、山頂までは岩と雪のミックス状態です。
一部の地面は凍結していましたので、滑らないように注意です。
そして富士宮ルート山頂に到着!
左手に進んで日本最高峰の剣ヶ峰へ向かいます。
6月中旬だというのに、富士山山頂にはまだこれだけ雪がありました。
やはり今年は雪が多い・・・・・・・・・のか?
そして剣ヶ峰直下の急登に挑みます。
崖付近の一部は雪が溶けてましたが、まだまだ大部分は雪道です。
気象条件が悪い場合は登頂を断念さぜるをおえないところですが、この日は晴れでしかも山頂付近は風は微風!
考えうる中で最高の条件下でした。
剣ヶ峰(3776m)に登頂!
『日本最高峰富士山剣ヶ峰』と書かれた石碑が建っています。なんかここに立つと感慨深いものがありますよね。
気温は7時10分ごろで0℃でした。
好天に恵まれた。これに尽きます。
ひとしきり堪能したら下山を開始します。
剣ヶ峰から見た富士宮ルート頂上。
見晴らしは最高です!
見とれて足元がおろそかにならないように注意して下ります。
こちらは胸突山荘(九合五勺)の急斜面の雪渓の下り途中で一枚。
雪渓に限らず、雪の斜面は下りの方が大変ですし危険です。滑落が一番怖いです。
アイゼンなしでここの斜面を下る場合は、相当慎重にならないと滑って危険です。
雪渓では安定して登り下りするためにも、ストックやピッケルは必須です。
リスクを考えると、アイゼン・ストック(ピッケル)はやはりあった方がいいです。強風時は更に危険になりますし。
アイゼン付けてても、逆足に刃を引っ掛けて転倒とかは十分考えられますので油断せずに下りましょう。
池田館(八合目)より下は夏道ですので、冬山装備を外して身軽になった足で下山しました。
ちなみに富士宮ルートは他3ルートと違い、登りも下りも同じ登山道を使います。土日やハイシーズンは、すれ違いが大変です。
下山後の五合目の気温は12℃でした。
下山途中には思ったより多くの登山者とすれ違いました。皆さん山開き前に結構登られてるんですね。
外国人の方も集団で登っていました。
すれ違う登山者を見てた中で、特に気になった点がありまして、それが登山靴です。
軽量でアッパーと靴底が柔らかい、いわゆる軽登山靴(ハイキングシューズ)で登られている方が多いように見受けられました。
軽量で靴底が柔らかいので、場所や時期を選べば歩きやすい軽登山靴ですが、
富士山は、砂利や岩で構成されていて斜度もあって滑りやすい足元なので、登山靴は踏ん張りが効く靴底の硬いタイプをお勧めします。その方が登りっぱなし・下りっぱなしの富士山では安心安全に歩くことができます。
山開き前(残雪期)の富士山においては、それに加えてアイゼンも使います。
アイゼンはどんな登山靴にも付けられる(付けていい)訳ではありません。装着時の固定力、安全性、耐衝撃性などから
ある程度硬い登山靴を選ぶ必要が出てきます。
仮にアイゼンを使わなかったとしても、簡単に靴底が曲がる軽登山靴での雪道の登り下りは、非常に滑りやすく危険です。
山開き後ならともかく、山開き前の、しかもまだ雪がしっかり残っている富士登山であれば、軽登山靴はいささか力不足と言わざるをおえないでしょう。
ここら辺は山開き直前の6月中旬ということで、登山者によって装備の判断がバラつく時期なのも影響しているのでしょう。
毎年積雪量により状況は大きく変化するでしょうし、自分のできる範囲で極力情報を収集してから山行計画を立てることを、強くお勧め致します。
装備に関するお問い合わせや、不安がある方は是非当店スタッフお尋ね下さい。
改めて
毎年、山開き前の富士登山において、遭難や怪我(死亡者)が多発しています!
相応のリスクが伴うということを、肝に銘じておきましょう!
装備、準備は万全に!
大宮店 會田