激走58時間!累積標高差11.140m!!

こんにちは 原宿店バヤシです。
先週19日から3日間「分水嶺トレイルレース」に参加し青梅から奥秩父を抜けて清里の獅子岩まで走ってきました!
「分水嶺トレイルレース」とは今年で4回目を迎えた縦走形式・カモシカ山行スタイルのトレイルレースです。奥多摩から4つの百名山(雲取山・甲武信岳・金峰山・瑞牆山)と4つの分水嶺(多摩川・荒川・富士川・千曲川)を3日以内で走破し、清里の獅子岩までたどり着く、トレイル率95%の知る人ぞ知る大変タフなレースです。
実はこの「分水嶺トレイルレース」、従来のトレイルランに飽き足らない仲間達と「面白いレースを!」と4年前に立ち上げたレースなのです。コースが日本の背骨である中央分水嶺を通ることからこのバヤシが「分水嶺トレイル」と名付けました。コース看板無し、エイド無し、最終区間はルート無しの踏査区間となっています。ソロの部と3名1組のチーム部が有り、ロープ、スリング、カラビナなどのセルフレスキュー装備、ビバーク装備の持参を義務付けるなど他のレースにないかなり硬派のレースとなっています。
分水嶺トレイルレースは今回で4年目ですが、今までの奥多摩鴨沢起点のAコースに加えて、当初から構想していた青梅永山公園起点のBコースが設けられました。参加希望者は事前の試走(タイムと写真提出を義務付け)と厳正な書類審査を経てA・Bコース合わせて80名が参加しました。
■分水嶺トレイルレースコース概要
◇Aコース 84km チームとソロ合わせて60名
鴨沢→七ツ石山→雲取山→飛龍山→将監小屋→笠取山→水干→CP1雁坂峠→破風山→笹平避難小屋→甲武信ケ岳→国師ヶ岳→CP2大弛峠→金峰山→CP3富士見平→瑞牆山→不動沢→松平林道→信州峠→横尾山→飯盛山→獅子岩駐車場
◇Bコース 115km ソロ20名
青梅永山公園→青梅丘陵ハイキングコース→榎木峠→高水山→岩茸石山→黒山→棒ノ折山→蕎麦粒山→長沢背稜→酉谷山→雲取山→飛龍山→将監小屋→笠取山→水干→CP1雁坂峠→破風山→笹平避難小屋→甲武信ケ岳→国師ヶ岳→CP2大弛峠→金峰山→CP3富士見平→瑞牆山→不動沢→松平林道→信州峠→横尾山→飯盛山→獅子岩駐車場
ちなみに国内の主なレースの距離と累積標高差を上げると
◇「信越五岳」 距離110km・累積標高差4.700m
◇「UTMF」 距離160km・累積標高差8.000m
◇「分水嶺トレイル」Aコース 距離84km・累積標高差8.000m
◇「分水嶺トレイル」Bコース 距離115km・累積標高差11.140m
分水嶺トレイルのコースはA・Bともに距離の割に標高差が多きい(=傾斜がキツイ)コースであることがわかります。またこのレースは案内板やエイドは一切なしで、食糧やロープなどのセルフレスキュー装備、ツェルトなどのビバーク装備を持つことが義務付けられており、最後の区間は踏査区間となっており、地図コンパスを駆使してのナビゲーション能力が求められます。

19日00:00 雨の中、事前の審査を通過した猛者達がスタート!
スタート集合地点をロストして出走に遅刻する選手も現れるなど、すでに波乱に満ちたスタートとなりました。
自分もマーシャル(役員)兼選手として、レスキュー装備など約20kgを背負って青梅をスタートしました。

スタートしてから13時間50分。ようやく青梅から41km地点の予備関門・雲取山荘に到着しました。すでに雲取までで十分お腹一杯ですが、ここからがようやく長~い分水嶺トレイルの始まりになります。
山荘から雲取山頂へ着くころには雨は激しさを増し雷雨となりました。レインウェアを大粒の雨が打ち付け、ストックを握る袖の間からどんどん雨が侵入し、あっという間に腕に水が溜まっていくほどの猛烈な土砂降りに気持ちは萎えます。
早い人はもう将監小屋でツェルトを張りビバークしていましたが、ここでは水を補給するだけにして先を急ぎます。多摩川源流の水干、富士川・多摩川・荒川の分水嶺を通過し雁峠を通過。

行動時間が24時間を超えて、さすがにこのあたりから眠気でヘロヘロになってきました。それでも水晶岳などいくつかのピークを越えてひたすら1関門雁坂峠を目指します。

行動開始から25時間59分ようやく第1関門「雁坂峠」へ到着。さすがに睡魔に勝てずツェルトを張って仮眠をします。ここは多くの選手が仮眠をしていましたが、そのままベンチで寝る人、直にエスケイプビィビィに潜り込んで寝る人など様々ですが、疲労困憊な時ほどしっかと仮眠して体力を回復させないと走れなくなってしまいます。

バヤシも雁坂峠でツェルトを設営し仮眠しました。かなり冷えて寒くなってきましたがツェルトの中は暖かく快適です。ツェルトの床は隙間があるので風が入らないようにSOLのヘビーデューティーエマージェンシーブランケットを広げます。これは通常のヒートシートの2.5倍の厚みがあり、とても頑丈なサバイバルシートなので重宝します。そしてマットはサーマレストのネオエアーXライト。超軽量・コンパクトで有りながら、厚みがあり抜群のクッション性と保温力を持った究極のマットレスです。寝袋の代わりにSOLのエスケイプビィビィに潜り込みしばしの睡眠を貪りました。

たったの2時間ですがぐっすり寝ることが出来ました。おかげで体力も回復し眠気もスッキリ!食事を済ませて05:00に雁坂峠を出発しました。東西の破風山を越え甲武信小屋でコーラを飲んで(ルールでは山小屋での飲食はOK)甲武信岳には09:00に到着。ここから国師ヶ岳までが長く、延々と続くアップダウンに多くの選手が悲鳴を上げていました。再び雨が降り始め、せっかく乾き始めた靴をぐっちょり濡らします。

ようやく国師ヶ岳についたのが12:30。フェニックスのTシャツは肌面が常にドライなので小雨の中で行動中も冷えを感じず快適に着用できました。ゴールまで着替えずこれ一枚で過ごしましたが、このシャツは消臭効果も高く異臭もぜんぜんしませんでした。

国師ヶ岳から一気に下り12:54第2関門「大弛峠」に到着しました。ここの小屋でのカレーを楽しみにしていましたがまさかの売り切れ。小休止して第3関門を目指します。
金峰山目指して登っていると雷鳴が聞こえ始め、昨日並みの雷雨になりました。あっという間に登山道が川と化します。稜線に出ると風も出てきてかなり冷えてきました。

コース上3座目の百名山にして最高峰の「金峰山」2590mに着いたのは15時。全身びしょ濡れで足もだいぶふやけてきました。岩場を慎重に通過し第3関門を目指します。

17:42最後の関門「富士見平」到着。多くの選手はここでビバークを選択するなか、毎年お世話になっているご主人のいる富士見平小屋でうどんをいただき、瑞牆山へアタックしました。

瑞牆山の登山道は今年の大雪の影響で岩が崩れルートはかなり荒れていました。夜間しかも雨でガスという悪条件でしたが果敢に登頂。21:20に瑞牆山山頂に到着しました。
ここから不動沢へ急下降の難所を通過しますが、ふやけた足の皮が剥がれそうで激痛に閉口しました。

多くの選手がビバークする中、さらに進んで信州峠を目指します。不動沢から松平林道を抜ければ信州峠ですが、眠くて蛇行しながら2時間歩いても3kmしか前進できない状態になり、信州峠の手前で1時間仮眠することになりました。
21日05:00再び行動開始。たった1時間の仮眠でも体力は回復し、頭も冴えます。05:30信州峠(1480m)到着ここから横尾山(1817.9m)を目指します。

横尾山から先はルートが不明瞭な探勝路となり、地図とコンパスを使ったナビゲーション技術が必要となります。本コース最大のクライマックスといえる区間で、道に迷い悪戦苦闘される選手も多い場所です。
横尾山から三ツ沢の頭までの踏査区間を抜けると牧場のメルヘンチックな景色に一変し、こんもりとした飯森山が見えてきます。ここからいよいよ獅子岩までラストスパートをかけます。

ついに10:38ゴールの「獅子岩駐車場」到着!115km累積標高差11.140mを58時間38分で走り抜きました!!

これが3日間走り続けた足。後半は皮がペロッと剥がれそうで怖かった。

上の写真は3日間のエネルギー源。これにうどんとカップめん×3個で115kmを駆け抜けた。
分水嶺トレイルの熱い3日間が今年も無事終了しました!
ロングのBコース、鴨沢スタートのAコースともに完走率は大雨の影響もあり約50%でしたが、日本の背骨を通り、静かな奥秩父の山々を十分過ぎるほど堪能できる大変魅力的なコースです。
皆さまも是非来年チャレンジされてみてはいかがでしょうか?
コアな世界でお待ちしております!!
未だに足のダメージが抜けない原宿店☆バヤシでした