2018年9月18日(火)~9月20日(木)に
南アルプスの『聖岳(3013m)』と『赤石岳(3121m)』を
縦走(2泊3日小屋泊)してきましたのでレポートします!
◆登山ルート(全行程)◆
3日間のルートを、それぞれ色分けして表示しています。
【1日目】聖沢登山口~聖平小屋(1泊)
【2日目】聖平小屋~聖岳~兎岳~中盛丸山~大沢岳~赤石岳避難小屋(赤石岳)1泊
【3日目】赤石岳避難小屋~赤石岳~椹島(下山)
総距離:27.71km/累積標高(登り):3516m
無料GPSアプリ[YAMAP(ヤマップ)]で実際に取得したGPSデータを利用しています。
山と高原地図を始めとするガイドマップでは、通常3泊4日で紹介されることが多いコースですので、計画を立てる際はご注意ください。
(2日目のコース紹介のところで解説しています。)
※はじめに
今回は2泊3日の山行なので、1日ずつ、計3ページに分けてレポートします。
本ページでは【2日目】としまして
以上の内容を記しています。
1日目と3日目については、リンク先を↓Check!
(アクセス + 聖沢登山口~聖平小屋)
(赤石岳避難小屋~赤石岳~椹島へ下山)
◆縦走2日目 コース紹介◆
2:53聖平小屋START~4:56聖岳(前聖岳)~6:05聖岳出発~7:32兎岳~9:03中盛丸山~9:36大沢岳~13:03赤石岳避難小屋GOAL
距離:12.10km / 累積標高(登り):1984m/ タイム:10時間10分※(標準CT約12時間)/天気:快晴
2日目は、聖岳への登頂を皮切りに、兎岳→中盛丸山→大沢岳と縦走し、最後は赤石岳直下にある赤石岳避難小屋を目指す、まさに今回のメインとなります。
1日で累積標高約2000mを登るハードコースで[山と高原地図]のコースタイムでは約12時間(大沢岳をどうするかで変動)と長丁場になります!
それもその筈、この2日目のコースは、通常2日間に分けて縦走するのが推奨されていて、その場合、大沢岳の近くにある「百間洞山の家」にもう1泊します。
ガイドマップが、全行程3泊4日で紹介されているのはそのためですね。
(例:1日目→聖平小屋/2日目→百間洞山の家/3日目→赤石小屋/4日目→下山)
※注意※
この山域は、山小屋どうしの距離が離れているため、
例えば中途半端な位置で日没を迎える事態になると、非常に危険です。
登山では「早出早着」が原則です。
アルプスのような高所縦走なら、尚更早めに山小屋に着いておきたいものです。
もし今回の私のように、1日で[聖岳(聖平小屋)→赤石岳(赤石岳避難小屋)]と縦走するのであれば、早朝スタートは必須ですし、ハードな山行になることを覚悟して臨んでください。
<2:53>聖平小屋を出て、聖岳への山頂アタック開始
2:30頃に起床。皆さんを起こさないようにそっと荷物を持って外へ。
ちなみに出発時の気温は5℃でした。流石にウインドシェルを着てのスタート。
なぜこんなに早く出発するのか、理由は2つ
①長丁場でハードな道のりなので、なるべく時間的余裕を作りたかった。
②折角なので、聖岳山頂でご来光を見たかった。
寝る前に起床後の段取りを何度もイメージしておいたので、
スムーズに外へ出ることができました。
聖平小屋を出たら、木道を進み突き当りを右折します。
聖平小屋→聖岳へは、標準コースタイムで2時間55分とあったので、
日の出に間に合うかは頑張り次第ですが、朝から動くのは得意なので、ある程度自信はありました。
途中平坦なところも一部ありますが、
基本的には山頂まで登りっぱなしと考えていいでしょう。
小聖岳の手前で、森林限界を超えると様子は一変。
尾根に出るので風が強く、撮影のため立ち止まると寒いです。
ガレたヤセ尾根を、ヘッドライトを頼りに歩いていきます。
道はハッキリしてますが、すぐ隣は崖ですから気を抜けません。
ヘッドライトも、なるべく明るいのをチョイスしたいところです。
聖岳山頂直下の登りは砂礫の大斜面となっていて、
足元が滑りやすい中を、ひたすらつづら折りに急坂を登っていきます。
岩に赤ペンキでマークがあるので、それを目印に登っていきます。
景色も見えないですし、ただひたすら無心で登る事だけを考えてました。
<4:56>聖岳(3013m)登頂!
念願の聖岳(前聖岳)についに登頂できました! やったー!!!
暗闇の中で集中して登ったからなのか、思ったより早く着いたので、
手袋やネックウォーマーといった防寒対策を施して、ご来光を待つことに。
東の奥聖岳方面に30m程進んだところの尾根上が、良さそうなポイントだったので、ここで待ちました(写真左の位置)
ちなみに奥聖岳へは往復45分の道のりになりますが、今回はこの先のことを考えて行きませんでした。
広がる雲海から富士山が顔を覗かせています。
なんとも幻想的な風景です。
気温3℃、風も吹く中、その瞬間を待ちました・・・・・・・・・・。
5:35~
ご来光きたー!!!
ちょっと言葉にならないというか 、「凄い」としか言いようのない景色です。
頑張って早出して登ってきた甲斐がありました!
陽が登り、すっかり明るくなったので周囲の山々の景色も見えてきました。
↑北側。
これから登る南アルプスの盟主「赤石岳」が堂々とそびえます。
奥には荒川岳や塩見岳、仙丈ヶ岳も見えます。
↓南側
茶臼岳や、百名山の光岳などが見えます。
光岳も、いつか登ってみたい山の一つ。
↓北西側
これから歩く、中盛丸山や大沢岳の稜線が手前に見える他にも、
↓中央アルプスの山々、木曽駒ケ岳や空木岳など。
その奥には、御嶽山までハッキリ見えました!
↓北アルプスの山々、槍ヶ岳や奥穂高岳などなど。
このままずっと山頂にいたいですが、そうもいきません。
これからの、赤石岳へ向かう縦走路が本番なのです。
気合を入れ直して歩き始めます。
先ずは次のピーク兎岳へ向かって、下りからスタートです。
兎岳へはまず兎聖のコルへ下ります。
赤色チャート岩盤地帯で、ゴツゴツした岩が多く足元がやや不安定です。
下り切ったら今度は登り返しです。
道幅が狭く、岩場をよじ登るところもあります。
兎岳への登り返しは距離は短いものの、急坂でガレています。
兎岳への道中、少し外れたところに兎岳避難小屋があるのですが、
こちらは完全に緊急時用の施設となっています。
<7:32>兎岳(2818m)登頂!
兎岳山頂も、景色は360度見渡すことができます。
↓兎岳山頂から見た赤石岳方面と、これから歩く稜線。
まだまだ赤石岳へは遠い!頑張らなければ!
兎岳の次は、小兎岳を経て中盛丸山を目指します。
再びコルへ下って小ピークを登り返します。
ここら辺はまだ歩きやすいほうです。
↓小兎岳(2738m)です。
割と広い山頂を持つので、ここで息を整えておきましょう。
ここら辺で、私とは逆回りで歩いている登山者の方数名とすれ違いました。
平日ということもありますが、単独行の方が多かったですね。
中盛丸山へは、一度森林限界まで下ってから一気に登り返します。
気温も上がってきて体力の消耗も激しくなってきました。
バテないように、行動食をチマチマ食べながら登っていきます。
↓中盛丸山 山頂直下の急坂です。
ここがまたかなりの斜度で、しかも足元がザレていて踏ん張りにくく大変でした。
「まじかよぉ~」なんて心の中でボヤきながら、気合で登っていきます。
この中盛丸山の登りは、皆さん覚悟しておいてください。
<9:03>中盛丸山(2807m)登頂!
朝に立っていた聖岳や、富士山が見えていますね。
少し休憩して、今度は大沢岳を目指してまた下りです。
この日は天気は快晴!気温も15℃まで上昇して、半袖で歩いていました。
長袖シャツでもいいのですが、暑がりなのでこの時期は半袖+アームカバー(ポケットに入れておく)のスタイルが多い私です。
ちょっと下ると地図上で「百間洞降下点」と書かれた分岐に着きます。
3泊4日の行程の場合に宿泊することになる[百間洞山の家]は、大沢岳の巻き道上にあるので、ここはどういう登山計画を立てているかで進み方が変わるポイントです。
一気に赤石岳避難小屋まで行く方でも、疲労度に応じて大沢岳を巻くという選択肢もありだと思います。
また、理由は後述しますが、ここに荷物を置いて大沢岳をピストンするのも推奨されています。
私は当初の予定通り、大沢岳へそのまま登ることにしました。
降下点から山頂までは、登り30分と距離は短目です。
↑1つめのピークの登り。
大沢岳は、2つのピークを持つ双耳峰です。
↓標柱がある、奥のピーク直下の登り。
大きな岩の上を歩いてきます。強風時は怖いところですね。
<9:36>大沢岳 (2820m)登頂!
大沢岳からの眺めも素晴らしく、
中央アルプスや北アルプス方面。
聖岳より幾分近づいたので、よりハッキリ山並みを確認できました。
赤石岳や荒川岳、南アルプス北部の山々など、聖岳とは違ったアングルでよく見えました。
巻かれることも少なくない大沢岳ですが、余裕があれば是非登ってみて下さい!
素晴らしい景色に出会えますよ!
これから大沢岳を下るわけですが、
[山と高原地図]によると、大沢岳の下りは登山道が一部崩壊が進行していて、百間洞への下りは堅い石のゴーロ帯で非常に歩きにくい―との記述が。
↑確かに、砂礫のトラバースがあったり、
↓百間洞への急坂の下りは、ゴロゴロした岩の上をひたすら下ります。
このゴーロ帯の下りがまた長いんですよ。
私は靴底の硬く重装備に耐えうるマウンテンブーツを履いていましたが、それでもこの下りは大変でした。
靴底の柔らかい軽登山靴(ハイキングシューズ)の方は、岩からの突き上げが相当ツライと思います。
この大沢岳のゴーロ帯を下から見上げると↓こんな感じです。
下りでも大変でしたが、登りで使うのはもっと大変そうです。
逆回りだったら、私も巻いていたかもしれません。
山と高原地図でも、先ほどの百間洞降下点に荷物を置いて(大沢岳を)ピストンするのを推奨していたですが、その理由が分かりました。
ゴーロ帯を下りきると再び森林限界下に降りて、
百間洞山の家の近くのテントサイトに合流します。
百間洞山の家を過ぎると、次の山小屋は赤石岳避難小屋までありませんので、
ここはある意味分水嶺と言えます。
一旦落ち着いて時刻や体の状態を確認していただき、1日で赤石岳を目指す方でも、不安があるようでしたら、予定を変更して百間洞山の家に泊まることも視野に入れることが必要です。
※百間洞山の家は2018年は9月24日で営業終了となっています。
(営業期間外も避難小屋として利用可能なようですが、必ず事前に確認を取って下さい)
私は脚は結構疲れていましたが、早出したお陰でまだ時間的余裕があるので「行ける」と判断。赤石岳へ目指して登りはじめます。
百間洞山の家が標高2460m地点で、赤石岳が標高3121mですので、ここから600m以上登らなくてはいけません。
ここまでハードな登下降が続きましたが、赤石山脈(南アルプス)の名を冠する山は伊達じゃないってところでしょうか。
最初の急坂を登りきると「百間平」という開けた平坦部に出ます。
非常に開放的な場所で、周囲の山々もよく見渡せます。
ここからは、右手に聖岳を眺めながら尾根を歩いていきます。
聖岳は、やっぱり存在感があって格好いいなぁ。
赤石岳に大分近づいてきました。
この広大なスケール感の中歩けるのは、本当に素晴らしいですよ!
なだらかな尾根歩きも終わりを迎え、
いよいよ赤石岳への山頂アタックを開始します。
ゴーロ帯を横切るように道が見えていると思いますが、
この「大斜面トラバース」をまずクリアする必要があります。
↓大斜面トラバースです。岩しかありません。
岩に描かれたペンキ印を頼りに、歩けそうなところを登っていきます。それなりに幅はあるので見た目ほど危険ではありませんが、明るいうちに通過しておきたいポイントですね。
そして、大斜面トラバースをクリアすると待ち構える最後の急坂。
もう何回「急坂」と言ったか覚えてませんが、南アルプスの盟主は最後まで手を抜かないようです。
中盛丸山のザレ場の急登や、大沢岳のゴーロ帯の下りもかなりキツかったですが、キツさで言えばここが一番だったと思います。
物凄い斜度で足元もガレているので、ちょっと進んでは立ち止まっての繰り返しで、ジリジリ登っていきました。
あーキツイ!
最後は気力で登りきって、ついに2日目の目的地の赤石岳避難小屋を確認することができました!
小屋に近づくにつれて、赤石岳山頂部も見えてきました!
↑両者の位置関係はこんな感じ。
小屋は本当に山頂に近いところにありますね。
<13:03>赤石岳避難小屋到着!
2時53分に聖平小屋を出て、ここまで10時間以上かかりましたが、無事辿り着くことができました!
この赤石岳避難小屋は、名前は避難小屋ですが、夏期は管理人さんが常駐していて安心して利用出来ます。
※2018年の営業期間は9月30日までのようです。
詳細はHPをご覧ください(特殊東海フォレストHP)
http://www.t-forest.com/alps/lodge_akaishi_hinan.html
内部の様子を少しご紹介。
↓土間です(写真左)
宿泊者はここで煮炊きとかをすることができます。
周りにはオリジナルTシャツやてぬぐい、日持ちするパンなど色々なものが販売されています。
赤丸で囲ったのはフリーボックスと言い、登山者がカンパで食料を入れていくので自由に食べていいとのこと。私も帰りに食料をカンパしました。
寝室(写真右)は2階にあり、受付時に管理人さんから指定されたところで寝ます。
寝具は揃っていて、枕もありました。営業期間内でしたらシュラフやマットは不要でしたね。
ちなみに水場はありませんが、ストーブの上に置かれたヤカンのお湯は煮炊き用になら自由に使っていいようです。朝も使わせてくれました。
トイレは外にありますが、夜は道中もオートライトが点灯する親切設計。
↓1階のコタツがある部屋です。TVなんかもあって、何か3000mにある山小屋とは思えない環境にちょっと面食らったりしました。
管理人さん(榎田さん)はとても気さくな方で、榎田さんに会いに来るのを目的に赤石岳へ登ってくる人もいるくらいなんだとか。
入口の横には飲み物が色々販売してありました。
写真は缶の飲み物ですが、他にペットボトルも売ってます。
↑ビールやチューハイが満載。ビールに至ってはロング缶まであります。
この日は宿泊者自体は8名と少なめでしたが、常連の方や榎田さんに会いに来た方々がいらっしゃってて、夜は土間でちょっとした宴会みたいになりました。
他の登山者の方が持参された差し入れを皆で頂いたり、お話を聞かせてもらったり、イジられたりしましたが、皆様のパワーに圧倒されっぱなしであまりお礼が言えなかったので、この場で改めてお礼を言わせてください。
本当にお世話になりました。ありがとうございました。
次回再訪する時は、ちゃんとした差し入れを忘れずに持っていきますので!
この2日目は今回の登山のメインとなる日でしたが、本当に天気に恵まれ、
聖岳でのご来光や眺望をはじめ、どのピークでも素晴らしい景色が待っていて、
南アルプスの圧倒的なスケール感を肌で感じられる1日となりました!
累積標高2000mとかなりハードではありますが、百間洞山の家を利用するなどして、是非一度はこの素晴らしい縦走路を歩いてみて下さい。
小屋から歩いて数分なので、実は赤石岳にも登頂しちゃいましたが、
赤石岳山頂については3日目のページでご紹介します。
明日は最終日!椹島へ下山します!
(アクセス + 聖沢登山口~聖平小屋)
(赤石岳避難小屋~赤石岳~椹島へ下山)
※赤石岳山頂の展望については3日目に掲載。
大宮店 會田