2018年10月22日(月)
群馬県と長野県の県境に位置し、日本百名山に数えられる
浅間山(前掛山:2,524m)の日帰り登山レポートです。
ついに、前掛山へ登れる日が来ようとは。
◆今回の登山コース◆
浅間山荘START~火山館~前掛山登山口~浅間山(前掛山)~前掛山登山口~鋸岳~仙人岳~蛇骨岳~黒斑山~草すべり分岐~湯の平口~浅間山荘GOAL
・距離:18.8km/累積標高(登り):1476m
・標準コースタイム:9時間55分(山と高原地図[浅間山]2017年版)
浅間山荘をスタートして浅間山へ直行する「火山館コース」で前掛山に登頂し、
帰りは黒斑山を始めとした外輪山の稜線を縦走してから浅間山荘へ戻るルート。
標準コースタイム9時間55分の健脚者向けのロングコースです。
ちなみに、「火山館コースのピストン(浅間山荘⇔前掛山)」でも標準コースタイム6時間50分です。
日が暮れるのが早い今の時期は早出早着を徹底して無理のない登山計画を立てて下さい。
浅間山は、今でも火山活動が活発な活火山です。
そのため、噴火警戒レベルの対象になっており、登る前には必ず最新情報や噴火警戒レベルを確認する必要があります( http://www.city.komoro.lg.jp/doc/2018091400027/ )
2018年8月30日から3年ぶりに、噴火警戒レベルが「レベル1」に引き下げられたため、火口の近くの「前掛山」まで登れる※ようになりました。
※浅間山火口から500m以内は立ち入り禁止なのは変わりません。
※ご注意下さい※
噴火警戒レベルの引下げは「前掛山に登れるようになった」というだけで、安全を保証している訳ではありません。
我々登山者は、自己責任においてリスク管理をして登山をする必要があります。
元々浅間山へは、今年の1月に外輪山である「黒斑山~仙人岳」へは既に登っています。
その時は噴火警戒レベルは「レベル2(概ね2km立入禁止)」で規制がかかっていたため、当時は浅間山自体は眺めるだけのものでした。
紅葉シーズンということで色々と山の情報を調べていたところ、浅間山の噴火警戒レベルが久しぶりにレベル1に引き下げられたことを知り(遅いか)
まだ登ったことのなかった前掛山(赤矢印付近)へ行くことに決めたのです。
↓スタート&ゴール地点となる「天狗温泉 浅間山荘」です。
チェリーパークラインの途中から、野馬取湯の平林道(ダート道)を約4km上ったところにある秘境の温泉宿です。
↑日帰り入浴も可能です(11:00~16:00頃)
ダート道は整備されているので、多少車は汚れますが一般車でも問題なく走行できます。道幅が狭いところが多いので、対向車などには注意です。
ちなみに電車&バスでも行けないことはないですが、バスの便数が少なかったり、野馬取湯の平林道4kmを歩かなければいけなかったりと、条件が厳しくなります。
他には、タクシーを利用して浅間山荘にアクセスする人もいらっしゃいました。
私は横にある、浅間山荘駐車場に車をとめました。ここより一段下にも臨時駐車場?ぽいスペースがあり、そちらも併せればそれなりの台数が止められそうです。
有料(500円)で、早朝に到着したので後払いとなりました。
平日の5時30分頃だというのに、既に登る準備をしている登山者が結構いらっしゃっててビックリ。紅葉シーズン+噴火警戒レベル引下げの効果でしょうか。
遅い到着だと車を止められない可能性も出てきますので、早めに来ることを推奨します。
駐車場は他にも浅間山荘から200m程下ったところに、
「日帰り登山者用無料駐車場(15台程度)」もありました。
こちらに止めた場合は、坂道を歩いて登山口に向かう必要があります。
↑下山後に撮影。
浅間山荘の奥にある鳥居から登山開始です!
写真左(上)大きな鳥居が目印です。
写真右(下)標高1410m地点なので、気温は2℃と寒いです。
写真左(上)鳥居をくぐった直ぐ右に、公衆トイレがあります。
写真右(下)左には浅間連峰遭対協小諸支部詰所があり、登山ポストもあります。
長野県登山安全条例に基づき、登山計画書の提出が義務付けられていますので、忘れずに登山届を提出しましょう。
私はWEB提出できるサイト[コンパス( https://www.mt-compass.com/ )]で事前に提出済みです。
登山道に入ったら、カラマツやアカマツの樹林帯をなだらかに登っていきます。
歩きやすい道が続きます。
一ノ鳥居に到着すると、ここで二の鳥居までの分岐が現れます。
どちらも最終的には二の鳥居付近に出ますが、行きは不動の滝が見られる沢沿いのルートを選択。
沢沿いに進んでいくと「不動滝」が見えてきます。
小規模な滝ですが、近づくことができます。
不動滝の少し先で先ほどの分岐が合流となり、この先は「長坂」と呼ばれる登り区間になります。そこまで急ではないので、自分のペースで登っていけば問題ありません。
写真左(上)長坂の登り。よく踏み固められていて登りやすい道です。
写真右(下)開けたところに出てくると、気温も下がり地面に霜が降りてました。
寒いですが、気持ちのいい道が続きます。
写真では写せませんでしたが、浅間山の頭が見えるところもありました。
写真右(下)火山館手前では硫黄が噴出しており、地面も変色していました。
ここだけ硫黄の匂いが強かったです。
コースの名称にもなっている「火山館」に到着しました。
ここは浅間山噴火時の避難所を兼ねた無料休憩所となっており、水場やトイレ、ベンチがあります(山小屋ではないので食事・宿泊は不可)
奥には浅間神社もありました。
写真左(上)トイレはバイオトイレでチップ制200円です。
写真右(下)飲料水用の水場です。気温マイナス2℃では水は出ませんでした。
※下山時にも確認したところ、気温が上がった日中は水は出ました。
火山館から奥へ進むと直ぐに「湯の平口(湯の平分岐)」に着きます。
このまま直進すると浅間山(前掛山)へ、左折すると草すべりを経て黒斑山方面へ登ることができます。
冒頭で掲載した、浅間山登山への注意喚起の看板が立っています。
私は浅間山へ直行するので直進しました。
道中は再びなだらかな樹林帯になりますが、一ヶ所開けたところは冬を感じさせるような風景が広がっていました。
木々の枝先まで霜が降りていて、中々幻想的な風景になっています。
薄手のグローブでは指がかじかんでしまい、用意しておいた防寒用グローブを装着しました。
ほどなくして「前掛山登山口(賽の河原分岐点)」です。
ここは直進すると浅間山(前掛山)へ、左折するとJバンド(鋸岳)方面です。
噴火警戒レベル2の場合は、ここから先の浅間山への立ち入りが禁止されます。
浅間山火口から1.5km地点。この先開けた浅間山の裾野を歩いて浅間山に登るので、ここでヘルメットを装着することにしました。
ヘルメットの着用は義務化されていませんが、つい最近まで規制されていた区域を歩くわけですし、いつまた噴火してもおかしくない活火山なわけですからヘルメットは装着した方がいいと思います。
実際。ヘルメットを装着している方は数名確認できました。
※各拠点でヘルメットの無償貸出も行われているそうです。
いよいよ3年ぶりに登れるようになった浅間山(前掛山)へのアタック開始!
警戒レベル2規制区域に足を踏み入れます。
なんだか緊張とワクワクが入り混じっています。
雄大な浅間山を右手に見ながら、開けた砂礫の道を登っていきます。
至近距離から見る浅間山は迫力満点です!
ちなみに、ここら辺でスマートフォンで写真を撮っていたところ、寒さからくる電源強制落ちのアクシデントが発生。
長いこと使ってるしバッテリーが弱っているのかなぁ・・・・・。
YAMAP(ヤマップ)でのGPS計測も途切れてしまいましたが、念のためお古のガーミンGPSでも計測していたので事なきを得ました。
※日中気温が上がってきたら、スマホは復活しました。
浅間山の登りは、徐々に斜度を増していき急坂になっていきます。
そして登山道の脇には雪も確認できました。
(この日の前日(10/21)に初冠雪が記録されたと、報道有)
もっと砂っぽい地面なのかと思ってましたが、思ったよりは踏み固められていて、岩がゴロゴロしている富士山の富士宮ルートのような印象でした。
外周を巻いて登っていく感じなので、強風時は滑落の危険性が高まりますのでご注意下さい。
しかしそのルート取りのお陰で、登っている最中も北側(嬬恋方面)の景色が常に開けていてテンションが上がります!
キツイ登りも楽しくなります!?
登りきると、正面に浅間山本峰が見えるのですが、立入禁止なので、
右に曲がって↓前掛山山頂を目指します。
もうすこし!
写真左(上)途中には避難用のシェルターが2基ありました。
写真右(下)結局、この日は登山道上には雪はほぼありませんでした。
念のためチェーンスパイクを持ってきていたのですが、使わず。
そして・・・・・・・・・
浅間山(前掛山:2524m)登頂!
やったー!!
正面に見えるのが浅間山本峰。
浅間山は独立峰なので、周囲は開けており絶景が待っていました!
↑西側の景色。
正面には八ヶ岳、その後方には薄っすら南アルプス、その右手には中央アルプス。
そして左手には・・・・・・・・
すっかり雪化粧した、富士山!
ちょっと写真がぼやけてしまいましたが、肉眼だと結構しっかり見えました。
↓西側の景色。
手前にこれから登る外輪山(鋸岳~黒斑山)の稜線があり、その奥には北アルプスの大パノラマが!
乗鞍岳から穂高岳、槍ヶ岳、剱岳、立山、鹿島槍ヶ岳、五竜岳、白馬岳などなど
まさに、北アルプスオールスターズと言っていい眺望。
↓北アルプスの一部を拡大。乗鞍岳、穂高岳、槍ヶ岳などが確認できます。
山頂の気温は0~2℃でしたが、快晴・微風と奇跡的な好天に恵まれて、素晴らしい眺望を楽しめました!
景色も十分堪能して、ぼちぼち他の登山者も登ってきたので下山開始です。
↑北側の景色。
四阿山の奥には高妻山や火打山、妙高山も。
続々と浅間山へ登山者が登ってきますので、すれ違いに注意しながら下っていきます。
トレッキングポールを使って勢いを抑えながら下っていきました。
太陽に照らされて、カラマツの黄金色の紅葉が際立ちます!
紅葉は、まさに今が見頃!って感じでラッキーでした!
「前掛山登山口(賽の河原分岐点)」まで戻ってきました。
ピストンの場合は直進ですが、私は鋸山~黒斑山まで続く外輪山縦走のため右折してJバンド(鋸岳)方面へ進みます。
浅間山にも登ったことだし、ここからは紅葉&外輪山を楽しみますよ~。
少し進むと賽の河原という、荒涼とした大きく開けたところに出ます。
ここは黄金色のカラマツの間を歩ける絶好の紅葉スポットです。
カラマツの紅葉をこうやって見るのは実は初めてなんですが、
この黄金に染まった紅葉はスケール感があって圧倒されますね!
見頃が続いており、この先の天候次第ですが、もう少し楽しめそうな感じでしたよ。
賽の河原を進んでいくと、本コース最大の難所であるJバンドの登りに突入します。
降りてくる方を見た時に「え?そこを下る(登る)の?」って正直思いました。
山と高原地図(2017年版)では「急なガケ」と、どストレートな表記が
されいますが、まさにその通りで、断崖絶壁の火口壁の横を登っていきます。
雪が降ったり凍結が発生したら、通過するのは困難になることでしょう。
登り切ったところがJバンド降下点です。
ここから右に行くと鋸岳、左に行くと仙人岳などを経て黒斑山へ行けます。
先ずは、まだ行ったことない鋸岳へ。
写真左(上)鋸岳へは一部岩の上を伝って行きます。強風時は要注意です。
写真右(下)鋸岳山頂と、先ほどまでいた浅間山(前掛山)
鋸岳山頂(2254m)に到着しました!
手製の標識看板があるだけですが浅間山もよく臨めますし、来る価値はありますよ!
↓鋸岳から見た北側(嬬恋村)方面の景色。
色んな所からこれだけの景色が見られるのは凄いですね。
麓もイイ感じに色付いてますね~。
Jバンド降下点まで戻ってきたら、浅間山外輪山の稜線を歩いて黒斑山を目指します。結構ガレてるので、滑落など注意して歩きましょう。
写真右(下)北側斜面には、昨日の初冠雪で積もった雪が残っています。
これからの時期に浅間山周辺を登るなら、念のためアイゼンやチェーンスパイクと言った滑り止めは携行すべきでしょう。
20~30分歩くと「仙人岳(2319m)」に到着です!
こうやって見ると、浅間山も北斜面を中心に薄っすら雪化粧していますね。
この浅間山外輪山周遊(鋸岳~黒斑山)は、周囲が開けていて気持ちのいい稜線歩きが楽しめます。
一部道幅の狭いところや、ガレた登りがあるので油断しないよう歩きます。
「蛇骨岳(2366m)」を通過して、黒斑山を目指します。
徐々に地面のぬかるみが増えてきました。
蛇骨岳⇔黒斑山の登山道は樹林帯を中心に、地面がかなりぬかるんでいました。
スパッツをつけたほうが快適に歩けます。
トレッキングポールは、ゴムキャップを落とさないようご注意下さい。
↑雪が解けずに結構残っているところも。
黒斑山をはじめとする、浅間山外輪山は人気のコースなので、登山者のすれ違いも多くなります。道幅は狭いところが多いので、譲り合いながら歩きましょう。
写真右(下)「黒斑山(2404m)」に到着しました。
黒斑山には登山者が一杯いたので、写真だけ撮ってすぐ出発しました。
↓黒斑山山頂から見る浅間山(前掛山)
登ってよし、眺めてよし、の浅間山。
黒斑山からは樹林帯を下っていき、トーミの頭の手前にある「草すべり分岐」から「草すべり」を経て湯の平口(湯の平分岐)へ戻ります。
トーミの頭へ向かうと車坂峠方面へ出ますので、浅間山荘へ戻りたい場合は分岐を間違えないようにご注意ください。
この「草すべり」ですが、急坂&ぬかるんだ地面で、非常に厄介な下りとなります。油断すると簡単に滑ってしまうので、慎重に下っていきましょう。
Jバンドとはまた違った形で脚部へのダメージが蓄積しやすい道なので、
上手くトレッキングポールを使って勢いを抑えたいところです。
この草すべりは、周囲に高い木が無く前方(浅間山方面)が大きく開けているので、
浅間山と裾野のカラマツ林を一緒に撮影するには絶好のスポットです。
かなりハードな道ですが、来る価値はあります。
草すべりを下りきって、カラマツ林の中を進めば、
湯の平口(湯の平分岐)へ戻ってこられます。
気温は10℃前後となり、朝の霜はどこへやら。
寒暖の差に対応できるレイヤリングが大事となります。
後は来た道を戻って浅間山荘へ戻るだけですが、一の鳥居~二の鳥居間の分岐路は、折角なので行きとは違う山側のコースに進むことに。
二の鳥居は確認できませんでしたが?分かりやすい標識が立っていたので、
そこで右に折れました。
(左に行くと登ってきた道(不動滝)を経て一の鳥居へ)
こちらの山側のコースは特に見るべきスポットがある訳ではありませんが、
黄色く染まったカエデ?などの紅葉が綺麗でした。
もう一方の沢沿いのコースには不動滝がある以上、コチラのコースはあまり人がこないのでしょうか、歩きやすくて静かな山歩きが楽しめました。
一の鳥居に戻ってきました。浅間山荘までもう直ぐです。
歩きやすい、なだらかな道を下れば。
浅間山荘に戻ってきてGOAL!
いや~中身の濃い登山でした。
写真右(下)駐車場ではブタくんのお出迎え?を受けました。
噴火警戒レベル引き下げ&紅葉シーズン真っ只中ということで、今回浅間山(前掛山)に登ったのですが、
好天にも恵まれ前掛山山頂からの大パノラマや黄金色に紅葉したカラマツ林を心行くまで堪能できました。
前掛山に登っている時や、外輪山を縦走している時も周囲は常に開けていて景色が良く、こんなに開放的な登山は中々味わえないと思います。
黄金色に染まったカラマツは、この先の天候次第ではありますが、もう少し見られそうです。紅い紅葉ももちろんイイですが、壮大なスケールのカラマツ紅葉も一見の価値ありですよ!
一方で、早くも初冠雪が記録されたように、確実に山は冬へ季節が移ろってきています。朝晩を中心に気温はマイナスになることもあります。
実際に一部の登山道では霜や路面の凍結、泥濘などで既に影響が出てきています。
ハイキングシューズの方もまだ多いですが、浅間山のような高所ではそろそろアイゼン対応の靴で登った方がいい時期なので、購入を検討されている方は是非ご相談下さい。
そう言ったことも含めて、今後の登山は気象条件や登山道の状態が予測しづらい状況が続きます。一夜で一変する可能性だってあります。
軽アイゼン(場合によってはチェーンスパイク)と言った滑り止めや、低温時の対策にグローブやネックウォーマ―、防寒ジャケット、汗冷えを防ぐアンダー、保温ボトルなどの装備も必要となってきます。
最新の情報(降雪や火山情報)をよく確認して、最適な装備と登山計画を立てて、
安心・安全に山登りを楽しみましょう!
大宮店 會田