2019年1月21日(月)
「水ノ塔山(みずのとやま:2022m)」と
「東篭ノ登山(ひがしかごのとやま:2228m)」へ日帰り縦走冬山登山に行って来ましたのでレポートします。
長野・群馬の県境で、浅間山より西にある高峰高原の2峰を縦走!
浅間山周辺の冬山登山と言えば「黒斑山(くろふやま)」を連想する方は多いと思いますが、それに比べると登山者も少なく静かな冬山登山が楽しめます。
◆今回の登山ルート◆
アサマ2000パーク第1駐車場START ~ 高峰温泉 ~ 水ノ塔山(2022m)~ 東篭ノ登山(2228m) ~ 兎平 ~ 高峰温泉 ~ アサマ2000パーク第1駐車場GOAL
★タイム:5時間2分(全行程)/距離:10.1km/累積標高(登り):615m
※無料GPSアプリ「YAMAP」で実際に取得したGPSデータを利用しています。
「アサマ2000パーク」というスキー場から高峰温泉へ向かい、反時計回りで水ノ塔山→東篭ノ登山と縦走して林道で高峰温泉へ戻るという冬山ルートです。
駐車場は、アサマ2000パークの第1駐車場を利用させて頂きました。
まだ営業時間前の早くに到着したので、スキー場自体は閑散としています。
ここに来るまでにチェリーパークラインという峠道を走りますが、朝晩を中心に路面凍結しているので運転には十分ご注意ください。
この日は風も強くて、到着時のスキー場の気温はマイナス10℃でした。寒いです。早く体を動かしたい。
まずはスキー場をスタートして高峰温泉へ向かうのですが、実際に歩いてみてちょっと分かりにくい(実際迷いました)と感じたので、
アサマ2000から高峰温泉までの歩き方(冬期)について詳しく解説したいと思います。
高峰温泉(ランプの宿)は冬期は[車坂峠⇔高峰温泉]間の道路が通行止めになる関係上、アサマ2000から雪上車での送迎を行っています。
我々登山者は、この雪上車道をたどって高峰温泉へ向かうことになります。
(宿泊者だけでなく、日帰り入浴者も専用料金を払えば雪上車に載せてもらえるようですので、それを利用するのもアリでしょう)
※↑便宜上、ゴール時に撮影した写真を掲載しています。
アサマ2000第1駐車場の奥に「雪上車乗り場」があります(看板が立っています)ので、それを目印に駐車場の外の道へ出て左折します。
そうすると、第1ペアリフト横のコース脇の雪上車道が続いていますので、そのまま第1ペアリフトを左手に見ながらゲレンデ横の雪上車道を歩いていきます。
↑7時30分にスタートしたのですが、時間が早かったため雪上車がまだ通ってなくて一面真っ新でした(本来なら雪上車(キャタピラ)の跡が付いています)
ちなみに、ツボ足で十分歩ける雪深さだったので、ここはツボ足で進みました。
雪上車道を進んでいくと、やがて左側にゲレンデ、右側に臨時駐車場(第4・第5駐車場)となるT字路にぶつかります。
ここは↑左折して、ゲレンデ内に一旦入ってください。
私、最初はここで道を間違えて、右の臨時駐車場方面に進んでしまいました。
その先は駐車場と道路があるだけで高峰温泉へは行けませんでした。
ここで少し時間をロスしたのですが、ウロウロしているうちに雪上車が正規ルートを通過したので、進むところが分かり事なきを得た感じです。
ゲレンデ内に入ると左前方に第3ペアリフト、右奥に第4ペアリフトとなり、その間を雪上車のキャタピラ跡を頼りに進んでいきます。
登山の恰好でゲレンデ内を歩くのは、何か不思議な感覚でした。
第4ペアリフト乗り場を右手に見ながら、ゲレンデ横の坂道を登っていきます。
ここの坂道はポール専用ゲレンデ脇にあるだけあって、結構急坂です。
やがて雪上車道はゲレンデを外れて右にカーブしていきます。
その先の坂道を登りきると、通行止めになっている「車坂峠⇔高峰温泉の道路」にぶつかるので道路を右折します。
あとは道なりに道路を進んでいけば、高峰温泉はすぐそこです。
雪上車が何台も止まっていました。
一部道に迷いながらも、ランプの宿高峰温泉に到着しました。
星空や雲海、お風呂などなど山の宿として人気みたいです。
日帰り温泉もやっているので、今度来たときは利用してみようと思いました。
高峰温泉はそのまま水ノ塔山(東篭ノ登山)への登山口となっており、また兎平(池ノ平湿原)へ続く林道の起点にもなっています。
今回は反時計回りにまず水ノ塔山へ向かいますが、先に兎平へ向かう時計回りコースも可能です。
林道歩きが単調で長いので、個人的には先に水ノ塔山へ向かうコースがおススメ。
事前情報では雪は例年よりも少な目とあったのですが、登山口をぱっと見た感じトレースがないですし、進んでみて深雪になっていると面倒ですので、ここでワカンを装着することにしました。
※この写真のワカンはマジックマウンテン製ですが、旧モデルで現在販売しておりません。
現行のモデルはデッキベルトに改良が施されているタイプで更に使いやすくおススメ!
ちなみに私の履いている冬山用登山靴は、AKUの「SERAI GTX」です。
冬靴ながら重量840g(UK8片足)と非常に軽量で、フィット感に優れ足首も動かしやすい設計なので、歩きやすくて気に入っています。
ワカンを装着して、いざ水ノ塔山へ登山開始!
昨晩から風も強かったようですし、降雪もあったのでしょう、やはりトレースは全くありませんでした。
ルートはハッキリしている感じでしたし、埋もれかかっている杭やロープ、リボンや岩へのペンキもあったので迷うことはありませんでした。
大きくルートを外れなければ、くるぶし上くらいの雪深さですし、ワカンで問題なく登れる斜面なので安心しました。
雪もサラサラで、久しぶりの雪山登山にテンション上がります↑↑↑
いやー、やっぱり雪山は歩いていて気持ちいいなぁ。
開けたところからは、この後登る水ノ塔山~東篭ノ登山の稜線が見えていました。
稜線歩くの楽しみです。
高度が上がるにつれて風も一段と強くなり、雪が飛んでいて岩の露出が増えてきました。
バラクラバで鼻を覆わないと、鼻が痛いです。
岩が露出してくるとワカンだと歩きにくく、リスクも増えますので・・・・・・
風を除けられるポイントを見つけて、素早く12本爪アイゼンに交換しました。
※こちらのアイゼン(ペツル製)も旧モデルです。
水ノ塔山の山頂直下は、急登+ガレ場で要注意ポイントです。
雪面はウインドクラスト(風の影響で雪面が硬く凍結)していなかったので、慎重に足の置き場を探りつつ登れば大丈夫でしたが、条件次第では厳しいポイントでした。
9:30 水ノ塔山(2202m)登頂!
山頂はそこまで広くないです。
水ノ塔山は、主に南側が開けています。
↑スタートしたアサマ2000スキー場や高峰山、この写真では見切れてますが黒斑山も見えます。
↓遠くには八ヶ岳連峰や、薄っすら中央アルプスなんかも見えました。
(風は強いですが)いい天気!
ここからは、東篭ノ登山への稜線歩きです。
先ほどの景色を左手に見ながら、踏まれていない稜線を歩いていきます。
南側が切れ落ちた、赤ゾレと呼ばれる崩壊地も歩きます。
道幅が狭く、強風時はここ一帯も注意が必要です。
クラストしている訳ではないのでワカンに替えてもよかったのかもしれませんが、タイミングを逃した感があるのでアイゼンのまま歩きました。
↓振り返って撮影。
開放感抜群で、気持ちのいい稜線が続きます。
たまに北側斜面や樹林帯の中も進むのですが、そこもひざ下まで埋もれることもほとんどなかったので、アイゼンで問題なかったです。
(気象条件によりますので、必ず最新情報を確認して装備をチョイスして下さい)
さて、もう一登りで東篭ノ登山です!
山頂直下は一部深雪に苦戦しましたが、特に問題なく登り切り・・・・・・・
10:20 東篭ノ登山(2228m)登頂!!
こちらの山頂は広いなぁ・・・・って、山名が書かれた標柱がエラいことに!
幸いにも凍ってはいなかったので、払い落として・・・・・・・・・コレでよし!
山頂はマイナス12℃で、風も非常に強くて寒い!
写真撮影にも苦労させられました!
東篭ノ登山山頂は、360度の大パノラマが広がっています!
↑東側。黒斑山や、その奥には浅間山(前掛山)もチラッと見えます。
↓北側。
こちらは雲が多く、山々は見えず。
↓西側。
手前に西篭ノ登山や湯ノ丸山。奥の北アルプスは雲の中。
↓南側。
これから下る兎平(池ノ平)方面。八ヶ岳連峰や、薄っすら中央アルプスを確認。
そして、忘れちゃいけない?!富士山もしっかり確認!
東篭ノ登山山頂も、実に素晴らしい眺めでした!
前掛山といい、この山域は眺望に優れててイイですね!
もっと撮影チャンスを狙いたかったのですが、強風で雪が飛ぶ中山頂で停滞するのも大変しんどかったので、兎平(池ノ平湿原)方面へ下山を開始!
兎平への登山道も、東篭ノ登山直下の急登は、強風で岩が露出している状態でした。
ここもウインドクラストが不安視されましたが、幸いにも雪は柔らかい状態だったので、12本爪アイゼンとトレッキングポールで、問題なく下れました。
↓山頂直下の急登を、下から振り返って撮影。
ここも気象条件次第では、登るのハードな斜面になりますね。要注意です。
下っていき樹林帯に入ると、風も落ち着き、歩きやすいなだらかな道が兎平まで続きました。
ワカンやスノーシューが実に映えるところですね~。
でも、そこまで雪深くなかったのでアイゼンでも問題なく歩けます(私はアイゼンのまま歩きました)
やがて、池ノ平湿原の入り口である「兎平」という開けたところに出ます。
建物や駐車場もあるところですが、冬期は閉まっています。
池ノ平湿原は冬期はスノーシューハイクが楽しいエリアです。
今回はワカンですし、時間的な都合もあるため行きませんでしたが次回の楽しみに取っておきます。
ここまで来たらあとは高峰温泉へ戻るだけです。
左に曲がり、湯ノ丸高峰林道という林道を歩いていきます。
兎平からだとゆるやかな下りになりますが、それでも高峰温泉まで1時間程度はかかりました。
景色も良く、開放感のある広い林道です。冬季は通行止めですので、トレースも上のほうはありませんでしたし、この時期ならでは面白い環境でした。
アイゼンを外して、再びワカンに交換。
深雪ではなかったのでアイゼンのまま歩いてもよかったのですが、折角の広々とした林道歩きなのでワカンで歩きたいなぁと。
林道のど真ん中を踏み抜いて歩いていきます。
最初は楽しみながら歩いていましたが、やはり距離が長いので次第に単調さが目立つようになり、途中からは無心で歩いていました。
最後の方はちょっと登り返しとなって疲れましたが、高峰温泉へ戻ってきました!
後は、再び雪上車道をたどってアサマ2000スキー場へ戻ります。
お昼頃には気温もマイナス5度程度まで上がったので、山頂での厳しい寒さを体験した身としては大分楽に感じました。
↑ちなみに、スキー場へ戻らずに直進すると直ぐに高峰山への登山道もあります。
↓アサマ2000パーク内に戻ってきました。
スキー場の営業時間中にゲレンデを通過するので、スキー/スノーボーダーとの接触に注意しましょう。
後は、朝歩いた第1ペアリフト脇を再び歩いて第1駐車場に戻って、
12:32にゴール!
↑最後は地味にしんどい上り坂。リフトに乗っている人からは丸見えでしたー。
2019年一発目の登山も、天気に恵まれ開放感抜群の稜線歩きや山頂からの絶景、スキー場内やトレースのない林道歩きなど、実に変化に富んだ縦走登山に大満足でした。
結局、同じルートを歩いている人は一人もおらず、トレースはほぼゼロの状態で歩くことになりましたので予定より時間がかかりましたし、思ったより脚が疲れました!
山頂直下の急登や、切れ落ちて狭くなっている稜線上などはウインドクラストの危険性もありますが、全体を通して見れば歩きやすくて道も分かりやすいので、冬山初心者の方も装備を整えて体力があれば十分登れるルートと言えるでしょう。
(単独行はリスクを伴うので、冬山初心者の方は必ず経験者に同行してもらってください)
装備に関してですが、標高が高くて風も強くて寒いですし、やはりクラストの可能性もあるので、保温性に優れた冬山用登山靴+前爪付きアイゼン(10本爪以上)の組み合わせが推奨されます。
軽アイゼン(6本爪)で登るのも不可能ではないですが、急登やガレ場、下りで滑りやすくて苦労します。
大雪・降雪直後等は樹林帯や稜線上は深雪になる場合もありますので、ワカンやスノーシューも併せて用意しましょう。
今回歩いていて、ワカンかアイゼンかの選択に悩ましい状況が多かったのですが、それでもシチュエーションごとに使い分けられれば楽しく安全に歩けます。
道具を駆使して登るのも冬山登山の醍醐味ですしね!
ウェア類は、日中でも簡単にマイナス10度下回る環境ですので、防寒・防風対策万全でないと稜線や山頂は厳しいです。
風も強かったので、立ち止まると鼻や耳や手が特に冷えました。
バラクラバは必携ですし、グローブもレイヤリング(重ね着)して保温性を高めるようにしましょう。
一体型のグローブをお使いの方も、インナーグローブの装着をおススメします!
他には防風対策にゴーグルや、晴れていると雪面の照り返しがキツいのでサングラスもお忘れなく(よくゴーグルを忘れそうになるんですよね)
そして冬山登山は、天候一つで大きく難易度が変わってしまうので、直近の天気含め小まめに最新情報をチェックするようにして下さい。
装備・体調は万全に、安全第一で魅力的な冬山登山を楽しみましょう!
大宮店 會田