2019年5月27日(月)
埼玉県にある、日本百名山の一つ『両神山(1723m)』に、日帰り登山をしてきましたのでレポートします。
埼玉県秩父郡小鹿野町と秩父市の境にあり、奥秩父の名峰と呼ぶに相応しい、埼玉県を代表する山の一つです。
〇(前置きはいいので)両神山頂からの景色を見たい方は⇒コチラをクリック。
◆本日の登山コース(日向大谷(表参道)コースピストン)◆
バス停横駐車場(日向大谷口) ⇔ 会所 ⇔ 清滝小屋 ⇔ 両神神社 ⇔ 両神山(1723m) ※+白藤の滝往復。
※標準CT(山と高原地図):往復6時間(白藤の滝往復は+30分)/距離:9.6km/累積標高(登り):1513m
↑無料GPSアプリ「YAMAP」で実際に取得した軌跡データを使用しています。
両神山へは複数の登山ルートがありますが、その中で今回はメインルートである「日向大谷口」から登るコース(日向大谷コースや表参道コースと呼ばれる)をピストンしました。
◆駐車場とアクセスについて
車ですと、高速道路をフルに使っても(大宮から)スムーズに行けて約2時間。
同じ埼玉県内でも、結構遠い印象です。
他県に行くのに2時間と、同じ埼玉県内で2時間だと、後者の方が長く感じるのは私だけでしょうか?
ちなみにバスで行くことも可能ですが、乗り継ぎやら便数が少ないやらで、時間的な制約が大きくなってしまうので、マイカーやタクシーで来た方が登山計画は立てやすいです。
ただし、両神山荘まで続く県道279号線(両神小鹿野線)は、最後の5km地点から、いきなり車1台分の道幅しかない狭い坂道になるため運転には注意が必要です。
落石が心配なポイントも多く(実際に小石が落ちてたりも)また車同士のすれ違いもタイミングが悪いと大変なので、結構緊張しました。
駐車場に関してですが、実際に見た感じだと計4ヵ所ありました。
※登山口(両神山荘)から遠い順に紹介していきます。
(上のグーグルマップに、それぞれの駐車場の場所も載せています)
■両神山無料駐車場その2(無料:10台くらい)
県道279号線(県道両神小鹿野線)を上っていきますと、最初に見えてくる一番遠い無料駐車場です(名称は分からないので、その2としておきました)
両神山荘まで400m程あるので、そこそこ歩くことになります。
■両神山無料駐車場その1(無料:15台くらい)
先程の駐車場から100mほど上にある無料駐車場です。
単一の駐車場としては一番車を止められそうですが、それでも15台程度です。
■バス停横駐車場(有料500円/日:10台くらい)
今回私が利用した駐車場です。両神山荘がある道路の下段にある駐車場で、ここからならそこまで遠くはありません。
写真には写っていませんが「日向大谷口」というバス停が駐車場左手に隣接しています。
ここは有料(500円)なので、登山開始時に両神山荘に立ち寄り料金を支払う必要があります(後述します)
■両神山荘駐車場(有料500円/日:10台くらい)
両神山荘直下にあり、登山道に一番近い駐車場です。
両神山荘の利用者が優先になると思われるため、ここを利用希望なら山荘へ問い合わせた方がいいと思います。
以上4ヵ所が日向大谷コース登山時に使えそうな駐車場となります。
両神山は多くの方が登られる人気の山ですので、狙った駐車場に止めたい場合はなるべく早い時間帯に来た方がいいでしょう。
さて、それではバス停横駐車場からの、日向大谷コースのレポートに入ります。
先ずはバス停横駐車場から戻る方向に歩いて、バス停を通過した先の道路反対側に両神山荘へ続く階段がありますので、そこを上っていきます。
別に両神山荘へ続く車道を上がっていっても構いませんが、コチラの方が距離は短いです。
石段を上っていくと、両神山荘直下の大きな看板があるところに出ます。
登山道へは左側に上がっていきますが、有料駐車場に車を止めた方は先に両神山荘へ立ち寄り料金を支払ってから登りましょう。
私もまず両神山荘に向かうため右手の坂道を上ります。
(写真左)両神山荘です。よく躾けられてそうなワンちゃんがいました。
料金は、山荘正面にある料金箱にお金を投入する仕組みの様です。
(写真右)料金箱とナンバー記入台帳。
有料駐車場に車を止めた方は、料金箱横のテーブルにある台帳に、日付や時刻、車のナンバーを記入して、料金箱に500円を投入します。
登山道へ入るには、両神山荘直下の大きな看板横の細い道を進んでいきます。
ちょっと進むと、登山者数を調べるためのカウンターがありますので押していきます。
隣には登山ポストもありますので、登山届を忘れずに提出しましょう。
(私はオンラインで登山届が出せる「コンパス」というサイトを利用しています)
(写真左)両神山に向けて、登山スタートです!
ちなみに本日は、熊谷市で最高気温36.2度を記録した5月としては記録的な暑さの1日でした。案の定、朝の時点で20度を超えていました。風も無いし暑くなりそうです。
(写真右)先ずは新緑が気持ちいい、なだらかな登山道を歩いていきます。
(写真左)序盤にあったクサリ場。
大岩を乗り越えるだけなので、クサリは使わなくても通過できます。
(写真右)基本的には、こんな感じの登山道がしばらく続きます。
歩きやすい地面なのですが、基本的に薄川沿いを歩くことになるため川側が切れ落ちており道幅が狭いです。すれ違い時は、譲る方は安全な山側に避けるようにしましょう。
進んでいきますと、Y字に分岐している「会所」と呼ばれているポイントに着きます。
日向大谷ルートの方は「両神山頂・清滝小屋」の標識に従い、左手の薄川沿いへ下っていきます。
ここから分岐する「七滝沢コース」は[山と高原地図]では破線表示(難路)で紹介されています。
私は行ったことがないのですが、地図を見ますと七滝沢沿いでコースタイムも倍近くの表記となっていますので、中々にハードなコースと推測されます。
会所から先は更に薄川沿いを歩くことになり、何度か川(沢)を横断します。
普段はそこまで水量が多くないので、かけられている橋や、岩の上を渡れば濡れることもないのですが、増水時は注意が必要ですね。
そして、ここら辺からしっかり登りとなっていきます。
全体を通してみれば登山道は明瞭で歩きやすいですが、一部ガレているところもありました。
道幅狭いので、足を踏み外さないようにしましょう。
(写真左)大岩と石仏がある、地図上の「八海山」というポイント。
(写真右)八海山を過ぎると傾斜がさらに増します。
もう汗だくです。
またしばらく登っていきますと、シルバーの標識がある分岐ポイントがあります。
ここから「白藤の滝」に行くことができるのですが、これが結構厄介ですので、ここで紹介しておきたいと思います。
※ここから少し、白藤の滝の紹介が入ります。
★興味のない方は⇒コチラをクリックすれば、滝の紹介を省略できます。
この白藤の滝までの道ですが[山と高原地図]では破線表示(難路)で「登山道から往復30分」との記載があります。
標識には「白藤の滝 5分 転落注意 両神村」と書いてあります・・・・・・・・が、よ~く目を凝らしてみますと「5分」の前のスペースに「1」と薄っすら書かれていました。元々15分と書いてあったのかは定かではないですが。
標識だけ遠巻きにパッと見て「”5分”で行けるなら行ってみようかな!」って軽いノリで行くとまず後悔しますので、お気を付け下さい。
白藤の滝へは、薄川がある谷まで一気に下降するため、急坂を下り、コースへ戻る際は登り返さないといけません。
行く人もそんなに多くないのか、踏み後も薄っすらですし、何より足元が崩れやすくて結構登下降に苦労しました。
距離は短いものの、谷まで下りきってしまうと確実に登り返しで脚力を消耗します。
特に、体力・脚力に不安がある方は、両神山登頂及び山行全体に影響を及ぼす恐れがあるため、よく考えてから行くべきです。
谷まで下りたら、薄川を少しだけ遡行します。
別に水に浸かる訳ではないのですが、もうこうなると半分は沢登りの世界です。
踏み後もほぼない(少なくとも私が行ったときは)ですし、途中で高巻く必要もあるため、距離は短いもののルートファインディング能力を多少必要とします。
熟達者や沢登り経験者なら問題ないでしょうが、初心者の方や疲労が蓄積している状態の方は、思わぬ事故に繋がる恐れがありますので、無理はしないで下さい。
薄川を少しだけ遡行しますと、その奥に見えてくるのが「白藤の滝」です。
↑白藤の滝全景。
水量は多くないのですが、結構な落差(正確な数値は分かりませんが30~40m?)があり、奥まった地形と相まって中々の雰囲気を醸し出しています。
↑手付かずな感じで存在しているので、滝壺手前まで接近できました。
結局のところ、白藤の滝には行くべきか?ですが個人的な意見としては、
「滝好きなら一見の価値ありですが、道が不明瞭で滑りやすくリスクも有り、登り返しもツラいので、よく考えてから行くべき」
と言ったところでしょうか。
日向大谷コースの紹介に戻ります。
相変わらず道幅が狭い道が続きます。
平坦部も少なくなり、暑いのも相まってジワジワと体力を消耗していきます。
ダブルストックで登る方もそれなりにいらっしゃいましたが、突くところを誤ると逆にバランスを崩すので、こういう道では頼りすぎにも注意しましょう。
更に進むと、登山道沿いに「弘法乃井戸」という水場があります。
気温が高くて暑いので、冷たい水はやる気を回復させてくれました。
弘法乃井戸を過ぎたら「清滝小屋」までもう少しです。
5月下旬で暑いですから小型の虫がたくさん飛んでいました。
そろそろ防虫対策も意識した方がいいですよ。
「清滝小屋」に到着しました。
立派な建物ですね~。
この清滝小屋は、以前は有人小屋だったようですが、今は無人の避難小屋として開放されています。
↑清滝小屋の内部。避難小屋としてはとてもキレイです。
外には屋根付きのベンチや、キレイなトイレもあって、少し奥にはテント場まであります。
これだけ整った避難小屋が道中にあれば、大きな安心感に繋がりますね。
もちろん利用の際にはマナーをしっかり守りましょう。
清滝小屋の裏手にある「清滝」です(よね?)
本日は水がほとんど流れていないので、もはやただの大きな岩でした(笑)
両神山荘から両神山頂へは、建物の間を通り裏手の登山道に入ります。
親切に案内標識がありますので、それに従えばOKです。
小屋の裏手から、再び急登が始まります。
距離的には半分を過ぎていますが、ある意味ここからが本番みたいなものです。
登っていきますと、会所で分かれた七滝沢コースとの合流地点があります。
標識もありますし、登っていけばいいので方向を間違えることはないと思いますが、下りの時は注意が必要なポイントになります。
その先に「鈴が坂」と標柱にありましたが、傾斜的にはここら辺が一番キツイところかもしれません。つづら折りの急登を頑張って登っていきます。
水分はもちろんですが「ハンガーノック(シャリばて)」にならないよう行動食もこまめに摂るといいです。
行動中に食べるものは、胃にやさしく消化・吸収が早いものをチョイスするのがポイントです(私はスポーツヨウカンやショッツが鉄板です)
急登を登り切りますと産泰尾根に出ます(標識はなぜか「産体」でしたが)
ここから先は、尾根沿いを歩きます。
尾根はやっぱ雰囲気がいいなぁ~。
ここら辺からミツバツツジ(多分トウゴクミツバツツジ)がチラホラと咲いていました。
両神山はアカヤシオでも有名ですが、そちらはもう少し早い時期(~5月中旬頃)
これらの咲く5月は、特に人気のシーズンと言えます。
産泰尾根に出て、両神神社までの区間ではいくつかクサリ場を通過します。
どれも傾斜はそこまでなので、クサリはあくまで補助として両手両足を使って慎重に登っていけば問題ありません。
一ヵ所、階段が組まれていました。
岩場もそうですが、混雑時は声を掛け合いながら一人ひとり登っていきましょう。
(写真左)「横岩」と呼ばれる巨岩の横を通ります。
(写真右)こういう木の根っこばかりの登りは地味にキツイですよね。
やがて鳥居とオオカミの石像が目印の「両神神社」に着きます。
両神山は山岳信仰の霊山として、古くから修験者の修行の場だったそうです。
両神神社の奥にはもう一つ神社があり、こちらは両神御嶽神社の奥社です(写真右下)
神社周辺は平らでベンチもあるので、一息付けるポイントです。
神社より先も尾根歩きが続きますが、なだらかな所も出てくるので少し楽になります。
ここら辺もトウゴクミツバツツジが咲いていました。
大分視界が開けてきて、山頂までもう少しな雰囲気です。
ちなみに稜線上では、旧道(廃道)コースへの分岐が見られますが、間違えて入らないようにしましょう(ロープや看板があるので見落とさなければ大丈夫)
↑こういう岩場にあるロープは、疲れているとつい頼りがちになりますが、使うならまず状態を確認しつつ、あまり強く引っ張らない方がいいです。
さぁ、ラストの山頂直下のクサリ場です。ゴツゴツですね~。
↑見上げる感じになりますが足場はしっかりしていますので、クサリはあくまで補助で、慎重に三点支持で登れば問題ありません。
後ろに待っている方がいたとしても、とにかく焦らないことです。
そして・・・・・・・・・・・
両神山(1723m)登頂!!
岩場で結構狭い山頂ですが、両神神社の奥社や三角点、方位盤など色々あります。
両神山は山頂からの展望も魅力の一つ。岩場のテッペンに立って景色を楽しみました。
混雑時は順番待ち等でじっくりとはいきませんので、空いている時で良かったです。
ちなみに午前中の山頂の気温は23~25度くらいで、無風で暑かったです。
虫も沢山飛んでいて、自宅で写真を確認したら黒点として結構写っていました(笑)
南側の景色です。
おぉ~いい眺めですね~!
奥秩父主脈(金峰山や甲武信ヶ岳、写真には写ってませんが雲取山など)が見えています。更に・・・・・・・・・・
富士山!
折角なら山頂から見たいと思っていたので、見られて良かったです。
こちらは西方向の景色。
↑西方向では、赤岳・横岳・硫黄岳・蓼科山などの、八ヶ岳連峰が見えました。
空気が澄んでいれば更に北アルプスも見えるようですが、この日はそこまでは見えませんでした。
こちらは北側(北西)の景色。
頂上部からだとやや木立がうるさいので、違うアングルから撮影。
拡大すると、奥に浅間山が薄っすらと。
手前には荒船山なども見えていました。
こちらは東側の景色。
こちらも頂上部ではない別アングルで撮影しました。
奥に武甲山が見えています。
こうして位置関係を見ると、やっぱり両神山は奥深い山ですね~。
遠くの方はやや霞んで見えませんでしたが、開放感のある晴れ渡った青空のもと、富士山や八ヶ岳連峰などが見られてとてもいい眺めでした!
下山に関しましては、今回はピストン山行なので来た道を戻るだけです。
ですので、下りの一部要所だけを取り挙げます。
↓山頂直下のクサリ場の下りです。
下りの方が危険なので、より慎重に。
恐怖心を抱きすぎると視野が極端に狭くなり慌ててしまいがちですが、落ち着いて周囲を見渡せば安全に下れるルートは必ず見つけられます。
道幅が狭くて段差が大きい下りは、勢いを付けすぎると最悪足を踏み外す恐れがあるため、安定した地面に小刻みに着地していきます。
身体をやや斜めに半身の姿勢で、足腰を柔らかく使い、着地の衝撃を脚の筋肉だけで受け止めないように意識して下っています。
産泰尾根から清滝小屋へ続く、つづら折りの下り(鈴が坂)に戻ってきましたら、
途中にある分岐で、間違えて七滝沢コースに入らないように注意しましょう。
勢いよく下っていると、分岐や標識を見落とす可能性もあります。
分岐点では、一旦立ち止まって地図を確認する癖を付けるといいです。
後は、登ってくる登山者とのすれ違いに気を付けつつ、両神山荘まで戻って、駐車場に下りてゴールです!
駐車場の気温は、日中で30度近かったです。暑かったー。
今回は最もポピュラーな日向大谷コースピストンでしたが、距離も10km近くあって累積標高は1000mを優に超えるため、登り応えがあって楽しかったです。
日帰りの山としてみれば体力的にもそこそこハードなので、日向大谷口にある両神山荘に前泊して、余裕をもってスタートするのもいいと思います。
登ってて感じたこととしては、平日ながら思ったより登山者が沢山いらっしゃってて、道幅の狭い登山道でのすれ違いが多かったことでしょうか。
「すれ違い時は登りの人が優先」というのが原則としてあるものの、実際はその場の状況に応じて臨機応変に対応することになりますが、気持ちよく通過できるようお互いに配慮し合いましょう。
ちなみに、切れ落ちている谷側で譲ると危険なので、譲る人は山側に避けるようにして下さい!
このコースはクサリ場もありますが、どれも岩場としては難易度は低めなので、ステップアップを目指す方には丁度いいかもしれません。
※初心者や不安な方は経験者に同行してもらって下さいね。
装備に関してですが、日向大谷コースなら登山靴はハイキングシューズ(軽登山靴)でも登れますが、ガレ場や岩場は濡れていたりすると滑りやすいので油断は禁物です。
ダブルストックを使う方も多いですが、岩場では面倒くさがらずにキチンと締まい、両手を使える状態にして登下降して下さい。
気温も上がって熱中症などのリスクも高まってきますので、水分や行動食は十分に用意しましょう。
それと、この時期になると埼玉県の山は既に虫が沢山飛んでいるので、防虫対策もお忘れなく。
装備や登山についてご不明な点は、お気軽にお問い合わせ下さい!
大宮店 會田