こんにちは。泳げないけど沢好きなお悩み相談室長ひとつです。
先月からず~っと続いていた梅雨のわずかな晴れ間を狙い、沢登り初級者の悩み多きお二人と蔵王のK沢に行ってきました。
今回のお悩みとは・・・
グループで沢登りに行くと初級者はトップ(先頭)を歩く機会が少ないため、それなりの役割は与えられるが登り終えたときの満足度に欠けちゃう、持っては行くが使ったことがない、ハーケンもハンマーもぶら下げているだけの重たいアクセサリーじゃないはずだけど?とのこと。
ロープワークをここでご説明するのは壮大な話になってしまうし、お二人には現場で交互にトップを体験していただきこちらのお悩みは解決してもらいました。
よって今回は「ハーケンの使い方」に焦点を当てさせていただきます。
まず、山へ出かける前にハーケンの事前準備をします。
以下の画像のように2~3mm径の細引きロープをリングに通し、軽めのカラビナで携行するのが便利です。そしてこれは携行に便利なだけでなく、実際のクライミングシーンでも重要な役割を果たします。
ハーケン(アンカー)が中途半端にしか打ち込めない場合に、荷重がかかってもテコでハーケンが抜けてしまわないよう根元にスリング(白)を巻き付け(タイオフ)ますが、ついでに予め通してある細引き(赤)とスリング(白)をカラビナでつなぎます。
こうしておくと、万一大きな荷重がハーケンにかかり、それが抜けてスリングから抜け落ちてしまったとしても再び使うかもしれないハーケンの紛失を防げるのです。
また、カラビナにぶら下げたハーケンは、素晴らしい音を奏でるのです。これは熊鈴とも違う清涼感の溢れるいい音色なので、私は熊鈴代わりに持ち歩いてます。なぜよい音色になるのか・・・?
それはハーケンには性質の違う2種類の鉄が使われているからです。
下の画像のハーケンのうち、上の無塗装のものが軟鉄製、下の黒いの画像の黒いのが鋼鉄製です。
軟鉄製は日本の沢登りのシーンでは不可欠な存在で、もろい岩の割れ目にも曲がりながら打ち込まれるので、岩とケンカしない安定感が抜群に良いです。対して鋼鉄製はしっかりとした岩盤の割れ目にくさびのように無理やり入り込むので岩質の見極めを誤ると重大事故にもつながりかねませんが、多様な厚みと形状があるので、岩質や割れ目の幅により使い分けます。
このようにハーケンには色々な材質、厚み、形状があるので、シーンによって正しく使いその身の安全を預け、携行時はクマよけ鈴や風鈴として美しい音色を楽しみましょう。
このハーケンを使いこなすのに必要不可欠なのがハンマーです。沢で使われるハンマーも多様な形状・重さがありますが、私のお気に入りは、沢登りを始めてすぐに購入したMIZO社の「ロカ(穴あり)」(画像下)です。
程よい長さ、軽さなのに絶妙な振りバランスで、沢登りにも岩登りにも重宝してます。そしてこれの女性版「チコ」も売れてるんです。ロカよりも軽量なのに振りバランスが良く携帯性にも優れるのです。
当初はハンマーホルスターで携行していましたが、濃密な藪や垂直の藪の中での行動時に引っかけて不快なことが多く、最近はもっぱらこの方法でカラビナで直接ハーネスのギアラックにぶら下げています。
まだまだ長いグリーンシーズン、楽しんでいきましょう。
楽しみつつ登った先にはこんな景色も待っているのです。
仙台店 一柳
なお、本文に登場した製品は、yodobashi.comにてご覧いただけます。
MIZO チコ (yodobashi.comでの取り扱いがございます)
型番 | MZ37 |
重量 | 310g |
素材 | ヘッド/ステンレス、シャフト/クロモリ鋼+メッキ |
値段 | ¥12,650 税込 (2020/7/28 時点の価格) |
MIZO ロカ穴あり (yodobashi.comでの取り扱いがございます)
型番 | MZ14 |
重量 | 480g |
素材 | ヘッド/ステンレス、シャフト/クロモリ鋼+メッキ |
値段 | ¥12,650 税込 (2020/7/28時点の価格) |
petzl アンジュ (yodobashi.comでの取り扱いがございます)
型番 | M59B |
重量 | 34g |
カラー | ブルー/ダークグレー |
値段 | ¥2,200税込 (2020/7/28 時点の価格) |
petzl ピュラノー (yodobashi.comでの取り扱いがございます)
型番 | G006AA00 |
サイズ/重量 | 60㎝/18g |
カラー | ホワイト |
値段 | ¥1,650税込 (2020/7/28 時点の価格) |