スキーブーツのフレックスとは(前編)【宮の沢店】

2023-06-06

宮の沢店 斉藤 人之です。
今回はスキーブーツのフレックスとは(前編)をお伝えいたします。
後編は調整についてです。
 
まず、ブーツの持つ硬度はプラスチック硬度をベースにフレックス表記されていますが、スキーブーツの設計、形状やラスト幅、ソール形状、インナーの素材などでフレックスは様々な特徴を持っています。
目安となるフレックスはメーカー単位でのラインナップになり、表記の数字が同じでもメーカーやタイプによってフレックスはそれぞれになります。
 
そして、スキーヤーの足やスネ、ふくらはぎのボリューム感によってもフレックスは変わると言えます。
スキーヤーのポジショニングやパフォーマンス、運動のタイプによってもフレックスは影響します。
ブーツの足入れ、踵の位置など、支点がどこにあるかによってもフレックスは変わりますので、フィッティング調整も重要になると言えます。
 
前回にお話しした、フッドベットの役割のフレックスと関わるところから説明していきたいと思います。
足裏感覚からスキーの動きや雪質などを読み取ることができると思います。
 



 
ブーツはつま先部分と踵部分のコバという部分を支点にビンディングで固定されます。
ソールのフレックスとトーションはスキー操作と外力を受け止めることにより大きく、ソール部分を変形させようとします。
足裏に不安定な要素を伝達することでバランスを崩す原因になります。
 
そして、ソールのフレックスやトーションを強くすることで身体へかける負荷も大きくなりパフォーマンス低下や怪我や身体の故障も想定されます。
足裏の安定感と操作や外力を受け止めるスィートスポットを広くもたせることによりポジショニングの取りやすさに繋がります。
 

 
その剛性と操作性のバランスを確保すためにスキーとブーツを繋ぐソール部分と身体を支えるフットベットを独立させて作用させることもフットベットの役割になります。
 


 
一体感を求めることでシビアな曲面を増やしてしまいます。難しい乗り物は楽しめません。適度な遊びがバランス力を上げて、パフォーマンスアップにつながる。ハードなセッティングが不要なほど、設計やプロセスがエビデンスに基づいて商品化されていると言えます。
フレックス、硬い、軟いで議論するのではなく、自分のレベル、運動軸の強度、外力の強さ、スピードを受け止める道具として考えることをお勧めします。
 
車に例えると、空気の適正量入ったタイヤと空気圧の低いタイヤでカーブ時のタイヤのつぶれ具合を想像して頂けるとわかると思いますが、ボディを支えられているか、カーブのラインをキープできているかがタイヤの役割。空気圧の低いタイヤはボディを支えきれず、カーブは膨らむようにラインキープが出来ない結果に繋がります。
 
ブーツも同様の役割でスキーヤーのバランスを支え、理想のラインでカーブしていく。
力を受け止めながら、カーブを自在にコントロールできることが最も重要な役割です。
ここを基準にフレックス選択していくことが大切です。
膝下の長さやブーツの高さの支点もフレックスには大きな影響があります。
 
膝下の長さに対してのブーツの高さもスキー操作に影響は大きく、日本のスキーブーツメーカーのレグザムは日本人の膝下に最も適した高さを設定。(海外ブランドから比べ低めの設定)海外の他のメーカーは日本人にはやや高めのアッパーシェルの高さを設計。
 
低めのメリット、デメリットがあり、低い分、操作性は高い。左右への傾き、角付は素早くできるメリット。デメリットは支点が低い分、短いものを撓らせるのと、長いもの撓らせるのでは、長いもの、高い支点が少ない力で撓りをつくることができる。
 
高いメリットもアッパーシェルからブーツ全体のフレックスを引出すことができます。
高い分、膝下を包む面積が増えてしまうので、硬度が高く感じてしまいます。
 







 
高い支点をメリットにソフトフィーリングを引出す設計が写真のようなカットしたものになります。
支点を土台にフレックスを引出せる、ソフトフレックスにすることができます。
 
Uの字にカットされていることにより、U字部分が開くように素材が伸びる要素がつくられています。アッパーシェルは脚全体をしっかりとフィットさせて固定、操作の基盤となります。しかし、脚の拘束要素も大きいと言えます。スキーとの一体感が強いほど、シビアな操作が求められます。ターン中に雪面コンディションや斜度の影響を受けながら、操作が難しい、正確なポジショニングや正確な操作が求められるとスキーヤーのレベルが左右します。必ず、毎ターン正確な操作が出来る訳ではありません。身体と用具を繋ぐ、操作の支点に適度な遊びをつくるおとで、ゆとりが出来、冷静な判断、身体の硬直を防ぎ、快適なターンをサポートしてくれます。
 
以上がブーツの持つフレックスの関係です。
引き続き後編(フレックスチューニング編)をご覧ください。
 
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