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2019年5月13日(月)~5月14日(火)
1泊2日の行程で、北アルプスの『槍ヶ岳(3,180m)』に、残雪期登山をしてきましたのでレポートします。
令和一発目の登山に選んだのは「日本のマッターホルン」という異名を持ち、登山者なら一度は憧れる名峰・槍ヶ岳!
※今回は、登山レポートを[前編]と[後編]に分けています。
この[前編]では、
についてを掲載しています(↑それぞれの項目をクリックするとジャンプします)
★槍ヶ岳山頂(槍の穂先)への登頂の模様や、2日目の下山については
①今回の山行データ(槍沢ルート小屋泊1泊2日)
【全行程(2日間)】総距離:38.8km/累積標高(登り/下り):2,756m/2,789m※
↑無料GPSアプリ「YAMAP(ヤマップ)」で、実際に獲得したデータを掲載しています。
【1日目コースタイム(5/13)】
ポイント | 到着時刻 | 出発時刻 |
備考 |
上高地バスターミナル | 5:03 | 5:14 | 4℃快晴無風 |
徳沢 | 6:25 | 6:33 | |
横尾 | 7:15 | ー | 5℃快晴無風 |
槍沢ロッヂ | 8:37 | 8:56 | 13℃。アイゼン装着。 |
槍ヶ岳山荘(宿泊地) | 13:15 | 13:51 | 受付を済ませて登頂開始 |
槍ヶ岳(3,180m) | 14:14 | 14:35 | 風弱い。気温測り忘れた |
槍ヶ岳山荘(宿泊地) | 15:14 | ー | 日中は終始晴れ。 |
・活動時間:9時間11分/距離:19.6km(標準CT:11時間20分)
・累積標高:登り2,323m/下り769m
【2日目コースタイム(5/14)】
ポイント | 到着時刻 | 出発時刻 | 備考 |
槍ヶ岳山荘(宿泊地) | ー | 4:37 | -1℃。風弱い。 |
槍沢ロッヂ | 6:34 | 6:50 | 6℃。アイゼン外す。 |
横尾 | 8:06 | 8:09 | 10℃。ペース上げる。 |
徳沢 | 8:52 | ー | 雨雲確認。無心で歩く。 |
上高地バスターミナル | 10:04 | 10:07 | タクシーで沢渡Pへ |
・活動時間:5時間30分/距離:19.2km(標準CT8時間)
・累積標高:登り433m/下り2,020m
※今回の山行記録(コースタイム)について※
今回の「槍ヶ岳残雪期1泊2日山行記録」ですが、雪山・残雪期(アイゼン・ピッケル使用)の経験がある、健脚者の単独行によるコースタイムとなっております。
通常ですと、上高地から槍ヶ岳を目指すこの「槍沢ルート」は、基本2泊3日が推奨(若しくはそれ以上)されるコースです。
1泊2日で登るのは、体力的にかなりハードですので、もし参考にされる場合はその点に十分ご注意ください(何のトレーニングもしないで1泊2日で登るのは厳しいと思います)
私もそんな1泊2日の計画なので、その分可能な限り早出早着を心がけ、更に1日予備日を設けているなど、リスク管理をして登っております。
ご自身の装備・体力・技術・経験をしっかりと加味したうえで、無理のない登山計画を立てて下さい。
少なくとも、初心者同士で気軽に登る山ではありませんのであしからず。
②上高地へのアクセスについて
アクセス、マイカー規制の詳細などに関しましては⇒「上高地公式ウェブサイト」もご確認下さい。非常に分かりやすくまとめてあります。
登山のスタート地点は「上高地バスターミナル」ですが、その上高地へは「通年マイカー規制」となっています。
よって、上高地へ行きたい方は、手前の「沢渡(さわんど)」等でシャトルバスかタクシーに乗り換える必要があります(上高地への直行バスもありますが)
※沢渡⇔上高地バスターミナルは片道約30分。
↑下山後に撮影した「市営第二駐車場(足湯公園)ゲート」
「沢渡」へは長野・松本方面からですと、長野自動車道「松本IC」から国道158号線で32km程度です。
国道はセンターラインがある片側一車線道路ですが、道中はカーブやトンネルが多くて高山方面に抜けるトラックや、観光バスが行き交うため思ったより交通量は多く、運転には注意が必要です。
沢渡には市営・民営合わせて多くの駐車場が点在しています。
私は夜中のうちに到着したい(仮眠を取りたい)ので、24h営業の市営第二駐車場(足湯公園駐車場)をチョイスしました。普通車は1日/600円です。
GW明けの平日ということもあり、夜中の到着時は15台くらいしか止まっていませんでした。更に、5/14に下山後戻ってきたら私の車しかありませんでした。
ここの駐車場の隣には何と、無料の足湯(写真右)があります。中々立派。
足湯横にあるトイレも24時間利用可能ですし、仮眠を取るにはいい環境の駐車場です。
※ちなみに、早朝に食料を調達できそうなコンビニは沢渡周辺にはありません?ので、松本IC降りてから街中にいくつかあるコンビニに寄っておきましょう。
さて、肝心の上高地まで、シャトルバスを使うかタクシーを使うかですが、事前に調べてみたところ・・・・・・・・
①「シャトルバス」⇒始発はこの日は6:00(時期・曜日による。公式サイトを要確認)※往復料金2050円
②「タクシー」⇒電話問い合わせしたところ4:30営業開始(必ずご自身で確認を)※片道定額4200円
ここに「1日で上高地から槍ヶ岳山荘まで登る」ことを考慮すると・・・・・
・槍ヶ岳山荘(宿泊地)へは15時までには到着したい。
(夕方以降の到着は、アクシデントとかではない限りは極力控えるべき)
・標準CTが10時間以上になるロングコース。
・雪や気象条件等で思わぬ苦戦の可能性がある。
ということから、兎に角早く現地入りできる②タクシーで行くことにしました。
皆さんも、ご自身の登山計画と照らし合わせて最適な選択をしてください。
<4:30>タクシーに乗車(この写真のタクシーとは違うやつですが)
少なくとも市営の駐車場にはそれぞれタクシー乗り場があり、この日は4時15分くらいに2台のタクシーが乗り場にやってきました(予約は不要でした)
↑第二駐車場ゲート横にあるタクシー乗り場(下山後に撮影)
タクシーは定額制で、料金は1台で片道4200円です(沢渡地区⇔上高地バスターミナル)
相乗り可能なので、3~4人で乗れればシャトルバスとそう大差はありませんが(バスは往復2050円)流石に平日朝イチなので私1人だけで乗車。
釜トンネル前までやってきましたが、ここのゲートが5時前後にならないと開かないため、ゲート手前で待機します。
※この日は4時55分にゲートが開きました。
「(開門)時間になるまで外に出ていてもいいですよ~」なんて運転手さんに言って頂けたので、外に出て写真を撮ったりしていました。
タクシー内に戻って、運転手さんとお話をしたりしながら時間を潰します。
やはり慣れているというか、気さくな感じで待つのが苦になりませんでした。金額的なことを気にしないのなら、タクシーおススメです。
③上高地→槍ヶ岳山荘までの登り(槍沢ルート)
<5:03>上高地バスターミナル(1,505m)に到着。
まだバスも来ていないため、とても静かです。
上の写真に載っている「上高地観光センター」と、↓コチラの写真左側に載っている「上高地インフォメーションセンター」の間にあるベンチで、靴ヒモ結んだりロングスパッツ付けたりと出発準備をします。水場もあります。
↑登山ポスト(写真右)は「上高地インフォメーションセンター」の分かりやすところにありますので、必ず登山届を提出しましょう!
※ウェブによる届け出「コンパス~山と自然ネットワーク~( https://www.mt-compass.com/ )」を利用するのもおススメです。
ここで、今回履いた登山靴を唐突にご紹介。
AKU(アク) 「ヤツミネⅡ GTX」
¥42,000 /分類:マウンテンブーツ/重量860g(UK8片足)
石井スポーツとパートナーシップを結んでいる、イタリアの老舗登山靴ブランド「AKU」のマウンテンブーツ。ソール、アッパーとも剛性に優れ、前爪付きアイゼン対応。
※この時期に槍ヶ岳に登りたいなら、前爪付きアイゼン(10本爪~)装着可能なマウンテンブーツ・ライトマウンテンブーツが必須となります。
間違っても、ソールの柔らかいハイキングシューズ(軽登山靴)で登らないで下さい。仮に登り切れたとしても、槍の穂先(岩稜)や、雪渓の下りが非常に危険です(そもそもアイゼン対応していない)
折角なので、もう少し装備について掘り下げますと、
〇アイゼン・ピッケル・ロングスパッツ・ダブルストック・グローブ・サングラス・各部位の紫外線対策(雪面の照り返しが強烈)などの、残雪期登山装備。
〇槍の穂先に登るためのヘルメットや(時期や必要になる方は)ハーネス・スリング・カラビナ・ロープなどの確保用登攀道具(使い方を熟知し、使用経験がないと役に立ちませんので注意)
〇朝晩寒いので防寒対策やサーモス・バーナーなど。
〇忘れてはいけないのが『お金』(上高地往復の交通費や、予備日のため少し多めに)
などなど、この時期はリスクが高い登山になりますので色々と準備が必要です。
荷物を軽くすることも確かに大事ですが、いざというときに身を守る装備まで切り捨てないようにしましょう。
<5:14>上高地バスターミナルをスタート
先程の登山ポストがあったインフォメーションセンター横から、標識に従い上高地の観光地内を歩いていきます。
↑直ぐに、上高地を代表する観光スポットである「河童橋」に着きます。
有名な撮影スポットである河童橋では、朝早くから観光客(宿泊者の方)が写真を撮ったりしていました。
日中に比べれば遥かに空いているので、折角なのでと私も撮影だけ。
↑河童橋から振り返って焼岳
↓コチラは進行方向側の穂高連峰
ちなみに当日の早朝の気温は4~5℃くらいです。風も弱くて絶好の登山日和です。
観光客の方々はダウンを着込んでいましたが、私はインナー+半袖Tシャツ+薄手長袖シャツで元気にやってます(笑)
まったり上高地を散策したい衝動に駆られながらも、ズンズン先へ進みます。
地図を見ると、梓川の対岸にも道があり周遊も可能みたいなので、バスターミナル周辺だけを散策するだけでも面白そうですね。
↑ビジターセンター(写真左)や、小梨平キャンプ場を抜けると観光客の姿はなくなり、地面も砂利道に変わりました。ですが歩きやすい道が続きまして、
横尾までは、アップダウンは正直あってないようなものです(疲弊した帰りは除く)
(写真左)徳沢へ向かう道の、丁度中間に位置している「明神館」
歴史と趣のある一軒宿で、早朝なのも相まっていい雰囲気ですね~。
写真には収めてませんが、明神間⇔徳沢の間はニホンザルを時折目撃します。
人を恐れないですし、下手に刺激すると怖いので私は完全にスルーしました。
↑ふと開けたところで左手を見ますと、明神岳や前穂高岳がドーンと。
一方で足元を見ますと、「ニリンソウ」の群生が、これから満開を迎えようとしていました。
↑実は、行きは進むのに集中しすぎてスルー→帰りでようやく気が付きました。
ちなみに、帰りのタクシーの運転手さんの話だと「あと1週間~10日で見頃になる」とのこと。
<6:25>徳沢(1,562m)に到着。
ちなみに、なるべく後半の登りで時間的な余裕を作りたいので、横尾まで(平坦部)のペースは結構速めです。ダブルストックを上手く使い推進力を得るのが早歩きのコツでしょうか。
とは言えここで息を切らしてはイケませんので、各々ペースは守りましょう。
立派な建物である徳沢ロッヂ(写真左)を右手に見ながら、横の道を進んでいきます。
奥の方のキャンプ場では、テントを張っている方々もいらっしゃいました。
(写真左)徳沢にある公衆トイレ。
ルート上にあるため利用しやすくて助かりました。トイレにはツキノワグマの目撃情報の張り紙も。
(写真右)徳沢を抜けたすぐ先で分岐がありますが、標識に従い斜め右方向へ。
ここら辺から道の脇にチラホラ雪が見えだしましたが、道の上には雪はありません。
時折細かなアップダウンはあるものの、相変わらずなだらかな砂利道を進んでいきます。
もうここまで来ると、数名のハイカーに出会うだけでした。
次のポイント「横尾」にそろそろ近づいてきたと思った矢先、いきなり正面に雪が大量に現れました。
その先を見るとかなり雪が残っている感じで、どうしようかと周囲を見渡すと、左側の道に工事用バリケードがあり「⇔マーク」を見つけたので、左にズレてそちらの道を進むことに。
この先は横尾まで、梓川の横の広い砂利道歩きとなりました。
こちらは道の上に雪がなく、歩きやすかったです。
ただし、この道は時折車も通るので、その点は注意です。
雪がない時期は、先程の道をそのまま直進するのが正解なのでしょう。
<7:15>横尾(1,620m)に到着。
結局横尾までは、ほぼ雪の上を歩かずに来ることができました。
まぁ、ほとんどなだらかでウォーミングアップみたいなものでしたが。
↑奥に見える建物が「横尾山荘」で、2泊以上の行程ならここで1泊する方もいます。
ここ「横尾」は、これから向かう槍ヶ岳をはじめ、涸沢・穂高方面や、蝶ヶ岳・常念岳方面への分岐点となっています。
(写真左)涸沢・穂高方面へ向かう方は、立派な横尾大橋を渡ります。
(写真右)「上高地11k←横尾→ 槍ヶ岳11k」とあります。
距離的にはようやく中間ということですが、標高差は上高地バスターミナルからわずか+115m(上高地P1,505m→横尾1,620m)に留まっています。
目指す槍ヶ岳は3,180mですので、後半戦でどれだけ登るか・・・・・・あまり考えたくありませんね!!
横尾山荘を右手に見ながら直進すると、蝶ヶ岳方面との分岐がある「横尾登山口」です。
「ここからは登山の装備が必要です」
「長野県登山安全条例に基づく指定登山道です」
「条例に基づき、登山計画書を提出してください」
などなど、お馴染みとなったこの看板(標柱の更に奥にある看板)を見ると気合が入るってもんですよ!
横尾を通過すると、再び樹林帯となり状況は一変。
登山道上に、雪がしっかり残っていました。
とりあえず様子見で、そのまま雪の上をツボ足で進みます。
※2019年5月13日での状況です。今後の気象条件次第では状況は大きく変わる可能性がありますのでご注意ください。
横尾⇔槍沢ロッヂの登山道は、まだ雪道の割合の方が多いのですが、地面が露出しているところもそれなりにあり、まだそこまで登らないため、この区間でアイゼンを付けるには至らずでした。
何とも中途半端な状態ですが、梓川や槍沢沿いを気持ちよく歩けるところもありました。
同じような景色が続くのでどこまで進んだが分かりづらいのですが、途中で「一の俣」や「ニの俣」の標識がありますので、目安にしていきましょう。
(写真下段)槍沢ロッヂ手前から雪が増えてきて登りとなりますが、ここもアイゼンなしで歩けました。
木の枝が邪魔していたり、踏み抜きがあったりしますが、トレースや埋めてある目印ポールを確認しながら進みましょう。
<8:37>槍沢ロッヂ(1,820m)到着。
槍ヶ岳を2泊3日(小屋泊)で登る方はコチラか、先程の横尾山荘を利用することになるでしょう。
そして「1日で上高地から槍ヶ岳(槍ヶ岳山荘)を目指す方」にとっても、ここ槍沢ロッヂは重要な判断ポイント(分水嶺)となります。
この時期の登山で小屋泊まりの方は「槍沢ロッヂ」を抜けると、もう有人小屋は「槍ヶ岳山荘」までありません(殺生ヒュッテは6月中旬まで営業していないため)
この槍沢ロッヂは標高1,820mですので、槍ヶ岳山荘(3,020m)までは、標高差にしてまだ1,200m程登らないといけません(しかも今年は雪が多くて(5月13日時点では)完全に雪渓の直登ハードコースでした)
ここまでで既に「脚が吊りそう」とか「もうヘトヘトでやっと来た―」という状態であれば、予定を変えて槍沢ヒュッテで一泊することも選択肢に入れた方がいいくらいです。
もちろん、天候も悪かったら(悪くなりそうなら)ここで停滞した方が賢明です。
※予備日があれば、天候の良い日に山頂を目指せるチャンスも増えますので、1日は設けておくことをお勧め致します。
水場やトイレ(有料)は宿泊者以外でも利用できますので、ここで一旦落ち着いて、しっかり準備と栄養補給をしておきましょう。
時間的にも天候的にも十分行けると判断したので、予定通り槍ヶ岳山荘へ向かうことに。この先は恐らく完全に雪道となるであろうと予想。
ここで12本爪アイゼンを装着して、念のためピッケルも取り出しました。
<8:56>槍沢ロッヂを出発。
丁度この辺りで、槍ヶ岳から下山してきた登山者数名とすれ違いましたが、皆様アイゼン装着+ピッケルorダブルストックでした。
流石にこの時期槍ヶ岳に登られる方々は、マウンテンブーツがほとんどです。
少し進むと周囲が開けて、その先に見えるのは・・・・・・・・・・
槍の穂先!!おぉ~
正直言ってようやく見えた感動よりも、
「今日中にあのテッペンに立てるのかしら・・・・・・まだまだ先は長いよぉ~」っていう感覚の方が勝っていました。
気を取り直して雪道を進んでいきます。
登りもそこまで急ではなかったので、まだ「ダブルストックの方が歩きやすかったなぁ・・・・」と、ピッケルに持ち替えたことを少し後悔。
雪が柔らかいため足がとられがちです。踏み抜きも多くて意外と苦戦。
やがて建物が見えてきまして、ここが「ババ平(槍沢キャンプ地)」です。
槍沢ロッヂの指定キャンプ地で、テント泊の方は2泊3日以上の場合はここに張って、身軽で2日目に山頂ピストンするというのもイイですね。
右手に見える建物はトイレ(有料)です。結構新しめな建物でした。
↓ババ平のすぐ先にある注意喚起の看板です。
この先へ進む前に必ず目を通して頂き、再確認をお願い致します。
~お知らせ~
「殺生ヒュッテは春山の(4月、5月、6月上旬)は営業していません。次は槍ヶ岳山荘です。天気が悪くなったり疲れて無理だと思ったら、早めに槍沢ロッヂに引き返してください(殺生ヒュッテ)」
先程の看板を越えると、周囲が更に開けて広々としたU字谷歩きとなります。
圧倒される風景です。
しかし、足元の雪は柔らかくて歩きにくいので、結構疲れます。
↓地図上で言う「大曲」のポイントです。ここからU字谷は、左に大きく曲がっていきます。
ババ平からは最初は割と平坦でしたが、徐々に傾斜が増していきまして・・・・・・
大曲を過ぎると、本日のメインとも言うべき、雪渓の直登がやってきました!
うぉー!この景色はテンション上がるけど、どう考えてもツライやつですよコレは~!!
一定間隔で立てられている目印ポールや、先行している登山パーティーの後を付いていって、↑こんな感じ(赤矢印)で登っていきます。
この日は快晴で風も弱く、また気温も高めだった(測るの忘れましたが体感で)ため、日中は雪が大分緩んでました。
雪面からの照り返しが強烈なので、紫外線対策しないとお肌が大変なことになります。
サングラスも必須ですのでお忘れなく!目の保護以前に、ないと前を向けません。
↑ババ平で、歩きやすいダブルストックに再チェンジしていたのでそのまま登りました。
風も弱いし緩んだ雪ではストックでも十分刺さるため、ダブルストックで体を持ち上げた方が幾分楽でした※
※悪天候時(風が強い)や、雪の状態(早朝や、締まった雪質)、下りではピッケルを使わないとまだまだ厳しいです。
この時期はなら、どちらかがあればOKではなく、両方持っていって、状況に応じて使い分けるのがベストでしょう。
アイゼンは刺さるというより軽く沈む感じで、これはこれで踏んだ後の足元が不安定になりやすく、脚の筋力を急速に消耗していきます。
※前爪付きアイゼンでないと、斜度が急なので滑って危険です。この時期に軽アイゼンやチェーンスパイクで登るのは止めましょう。
↑徐々に傾斜がキツくなってきましたので、前爪(つま先)を蹴り込みながら登っていきます。
なるべく色んな脚の筋肉を使うようにして、特定の部位がつらないように注意して登りました。
途中に大岩が露出していて、ちょっとだけ落ち着いて休めるポイントがありましたので、そこで振り返ってU字谷を撮影。
赤矢印付近から登ってきました。写真中央やや右下に見える小さな点みたいなのが、登ってきている登山者(登山パーティー)です。
この槍沢のU字谷の規模がお分かりになると思います。
小休止した後、更に登っていきますと、ついに槍ヶ岳をしっかり視界に捉えました!
ようやくゴールが見えてきましたが、ここからがまた長かった・・・・・・・。
右手に殺生ヒュッテを確認(※6月中旬までは営業していません)
こうやって見ると、一見大したことなさそうに見えるかもしれません?が、大曲からほぼ登りっぱなしなので満足に脚を休めず、実際かなりハードでした。
ハァハァ言いながらも、目的地へ近づいてまいりました。
槍ヶ岳が徐々に大きくなっていき、右手にある槍ヶ岳山荘もハッキリ見えてきます。
「さて、どこを登ればいいのやら」と思っていると、人と思しきシルエットが、何やら小屋横の急斜面を真っすぐ降りてくるではありませんか!
つまりは、赤矢印な感じで直登しろってことですね!なんてこったい!
ここまでの雪渓の直登続きで、既にカラダの色んな部位が悲鳴を上げていますが、
最後の最後で最も急な斜面を持ってくるあたり、容赦ないですよね(苦笑)
↑雪渓上部の雪も、日中は大分緩んでいました。
今思うと、雪渓登りは風が弱くて本当に助かったと思います。この急斜面で強風・悪天候ですと、ピッケルで耐風姿勢取りながら登るのは相当厳しかったことでしょう。
※毎年のように事故も発生しているようですので、悪天候時は本当に無理しないで下さい。
ラストは、目印ポールの数をカウントダウンしながら、
数歩登る→止まって休む→また数歩登る→また止まって休む→・・・・・・と繰り返してジワジワ登っていきます。
もうね、ここまで来たら最後はメンタル勝負ですよ!
うぉーっ!槍ヶ岳山荘まであと少し!!
そしてついに・・・・・・・・・・
<13:15>槍ヶ岳山荘(3,020m)に到着!
「あの急な雪渓を登り切ったぞー!」と、槍ヶ岳にまだ登頂してもいないのに、心の中では既に大きな達成感が芽生えていました。
槍ヶ岳山荘の横から、先程まで登ってきた雪渓の急登を撮影。
↑こちらは槍ヶ岳山頂からの下山中に、別アングルとして撮影した一枚。
こうして見ると「ホントよく登って来たもんだなぁ」と感慨深くなりました。
※このU字谷の雪渓登りですが、その年の降雪量や今後の気象条件次第でルートが異なってくる場合があります。
槍ヶ岳に登る際は、必ず最新情報をご自身で確認するようお願いいたします。
槍ヶ岳登頂の前に、まずは槍ヶ岳山荘で宿泊手続きをして荷物をデポしてきます。
↑槍ヶ岳山荘の入り口。アイゼンは入口外で外します。
↓入って正面にある受付です。
手前のテーブルにある宿泊カードに必要事項を記載して、受付でお金を払います。
私は1泊夕食付きにしたので9,000円をお支払い。
部屋の場所や食事の説明を聞き、荷物を置きに向かいました。
さぁ、いよいよ槍の穂先を登ります・・・・・・・・・・・が!
登山レポート:残雪期の槍ヶ岳に挑む【前編】は、ここまでとなります。
槍ヶ岳(槍の穂先)登頂の模様や、槍ヶ岳山荘について、2日目の下山については
をご覧ください!
大宮店 會田