こんにちは、石井スポーツ松本店の酒井です。
先日、西穂高岳北面の西穂沢を登って
スキーで滑ってきました。そのレポートです。
今年の4月に弓折岳から滑った時、穂高の方に一際目立つ西穂沢があり、それを見て以来、ちょっと憧れていた沢でした。
西穂高岳の岐阜側、北面に位置する「西穂沢」
ちょっとマイナーで、ネット上の記録もそんなに多くない場所です。上高地側、南東面にある「西穂高沢」の方がメジャーでしょうか?ややこしい…
詳しい地形はウェブ版の国土地理院地図を見てみてください。
さて、では登山開始。
新穂高温泉よりスタートします。
もはや里は春の様相、雪は無く、
板とブーツを担ぎ、アプローチシューズで右俣林道を歩いていきます。
新穂高から一時間ちょっとで白出沢出合に到着。
ここから穂高岳山荘に直登する登山道を辿っていきます。思っていた以上に登山道に雪が無く、滑れるのか不安になってきます…
1700mぐらいまで上がってきた所で雪に出会えました。西穂沢の上部まで見通せます、当初の予測より状態が良く一安心。
反対側には、美しい抜戸岳と笠ヶ岳。
あのあたりもいつか滑ってみたい山ですね。
スキーブーツに履き替え、アイゼンを装着し、
登山道から離れて西穂沢を詰めていきます。
北面だけあって雪は固く締まっており、
前爪を使ってグングン標高を稼いでいきます。
雪渓の入りから急斜面、
多分30度前半から後半ぐらいでしょうか。
大きな沢で、景色の変化がなかなかありません…
雪渓上部
次第に斜度は増していき、40度は超えるぐらいに。
本筋をストレートに登っていきますが、支流にも楽しそうなラインが沢山…
心躍る光景です。
しかし、この辺りから落石がポロポロと落ちてくるように。その数は白馬大雪渓や針ノ木大雪渓の比ではなく、叫ぶ事数度、横に避ける事2~3回…
疲れも蓄積しているなかで集中も切らせず、大休止も出来ず、なかなかしんどい。
雪渓最上部
西穂高岳山頂の基部を左に巻き、間ノ岳との狭いコルを目指して詰めていきます。
斜度はさらに増し、50度近くに。
まだ立って歩ける程度ですが、ウィペットを雪面に刺して四つん這いになって歩く方が楽なようになってきます。
ヘトヘトになりながらも、無事に稜線まで登り上げられました。
登ってきた場所を見返すと、広大な裏銀座方面の山々とスティープ斜面、コルの向こうに見えるは上高地。
ここから西穂高岳の山頂に行こうと思いましたが、残雪の状態がなかなか悪く、時間が掛かりそう&雲が湧いてきたので、間ノ岳方面の小ピークに登り、一応の山頂としました。
奥穂&前穂が美しい。
小ピークからコルまで戻り、滑走準備。
安全に準備できる開けた場所は無かったので、
ピッケルでステップを作り、板を置きます。
板を完全に装着するまで、ピッケルは片時も手放せませんでした。
通常ならクライムダウンで降りたくなる急斜面も、
板を履けば一安心。スキーのエッジは偉大です。
ドロップ。最大斜度はおそらく50度ぐらい。
稜線直下はやや硬く、また非常に狭かったので、無難に横滑り。しかし、雪はすぐに緩み、また雪渓も広がっていきます。
斜度も中腹までは40度以上の斜度が続き、
非常に気持ちの良いスティープ滑走を楽しめました。
一気に標高差1200m近くを滑るストレートなライン。
笠~弓折岳の稜線と裏銀座への眺めが非常に美しい沢です。
あっという間に登山道に合流。
登りは5時間、下りは30分…
効率良いんだか悪いんだか。
再び板を担ぎ、残置したアプローチシューズを回収。
そしてサクッと林道まで下山。
帰りの右俣林道を新穂高温泉までテクテク。
往路では気が付きませんでしたが、ニリンソウの群生が見事でした。
西穂沢、アプローチは長く、急登の連続で落石は多く、なかなか緊張する山行でしたが、非常に気持ちの良い滑走を楽しめました。
今度行く時は支流を登ったり、上高地側に落としてみたり、色々楽しめそうな場所です。ただ、本当に落石が多いので、登っている時だけ機動隊の盾が欲しいと思いました。
スキーのシーズンも最終盤、是非皆様も残りのシーズン楽しんでくださいませ。