<登山活動編>6/4~21 ~いよいよ登山活動開始・・・そして涙の撤退まで~【札幌店】

2024-08-17

本日よりいよいよスパンティークアタックへ向けての本格登山が開始となる。
 
ピークへのアタックまでの行程として我々は次のような計画を立てた。
 
BCの他にC1、C2、C3とキャンプ地を作りながら、スパンティーク南東稜ルートを登り、キャンプ間を上り下りしつつ高度順応をかね荷上げを進め、天候などの条件を満たしたタイミングでC3からピークを目指すというものだ。
 
C1:5050m 、 C2:5400m 、 C3:6160m 、 ピーク:7027m
 
ルート上の技術的な核心部はC2以降にあるスノーピークと呼ばれる雪の急斜面で、クレバスの危険や降雪後の雪崩リスクの高いエリアである。
 

手前から2個目のとんがり斜面がスノーピーク。(トンガリコーンみたい)
 
 
 
登山開始BC-C1設営へ
6/4 荷物の整理を行いつつ体調を整える。
 
 


BCで食料の仕分け。これらが上部キャンプの主食となる。

 

6/5 待ちに待った登山初日。まずはC1設営。だが、15~20kgという荷物の重さに加え、高所順応がまだできていなくていいペースで進めず、目標のC1までたどり着かなかった。
やむを得ずルート途中にテントを張り荷物をデポしてBCに戻ることに。
 

BC出発直後。序盤は雪面を歩く。
 

途中から踏み跡がある岩多めのルート。
 

1ヶ所雪壁のトラバース。
 

トラバースして少し登っている時。
 

デポ地点、4800mくらい。
 
 
6/6 昨日のデポ地点で一部荷物をピックアップし5050m地点にC1設営。自分を含む数名が体調不良により停滞となってしまったが、残る3名の隊員による頑張りで無事設営完了。
 
ひとつ目の前進基地が出来た!
 
明日は今日休養していた僕たちがC1に荷物をデポしに行く予定。
 
ベース入りしてから天候が安定していない日が続く。明日は順調にいくだろうか…
 
 


C1(5050m付近)設営完了!
 
 
 
C1設営―C2設営完了!
 
6/7 この日は高度順応を兼ねデポ地点に置いた残りの装備をC1に荷上げし、ベースまで戻る予定だったが、スタートから天候が悪く、なんとかデポ地点まではたどり着いたもののさらに天候悪化でそれ以上は先に進めず急遽この場にとどまり高度順応を進めることとした。
ただ、天候が悪いといってもそこは高所、意外と日差しが強くテントの中が非常に高温になり、結局夕方日が陰るまでは体を満足に休めることができなかった。。。

 


BC出発直後。視界がない上に風はあるという最悪の天気。
 

デポ地点。ここから先はホワイトアウト状態で何も見えない。
 
 
6/8 朝起きると昨日より天気が悪化している感じがするし、頭痛もある。
だが、計画の日程よりも遅れているのでここは何としてでも進めておきたい。
 
意を決して出発することに!
 
視界は非常に悪く風もあるためまったく楽しくはないが、ようやく登山をしている感じになってきて少し嬉しく感じる。
 
その後、雪庇とルートの境目がわからないくらいの悪天にさらされながらようやくC1に荷物をデポすることができた!
 
できることならここに泊まりたい気分だったが、まだBCには荷上げしなくてはならない装備が残っているためこのままBCに下ることに。下山途中1日半ぶりにBCから上がってきた他の隊員とすれちがう。大した時間でもなかったがなんだかうれしい。
 
彼らは今夜C1に泊まり、明日は予定地まで移動後C2を設営。その後C1まで下りてきて泊まる予定だ。
 
僕らの方はこのままBCに戻ったのち、明日C1に上がる予定。天気がよければC1に全員集合ということになる。

 
 
6/9  今日は昨日と打って変わって天気は快晴!
 
むしろ日差しが強くて暑いくらい!
 
ただ、今までの天気のことを考えると、とても気持ち良く登ることができた。
 
身体の方も順応が少しずつ進んできているようで、登山当初より楽に感じる。
 
BC出発後、ゆっくり歩いて15時前にはC1到着。C1にはC2にテント設営し終わって戻ってきた他の隊員が待っており、無事に全員集合!
 
これからいよいよ核心部に向けて行動開始だ!
 
わくわくとドキドキとやってやるぞーと、いろんな気持ちがわいてくる!
 
明日からの天気が特に重要になってくるが、天気は今日みたいにいいのだろうか…
 
 

Co4800mを超えたあたり。
 

C1に向かう途中の雪壁。
 

絶景を眺めながらの休憩
 

少し急な雪面を登る。
 

少し先にC1が見える!ここまでゆっくり歩いてきたが、疲労が少しずつたまってくる。
 

先行していた他の隊員と合流。C1に登攀隊員が全員集結!
 

テントとスパンティーク。
 

 

 
 
6/10 昨日に引き続き今日も気持ちのいい快晴!
 
僕らはC1に荷上げした装備をC2にデポしに向かいその後C1に戻ってくる予定。
 
他の隊員はC2に移動後そのまま泊まり、明日核心部を登る予定だ。
 
C1からC2までのルートは雪庇が左側に出ているところが多く、視界が悪いと雪庇を踏み抜く可能性があるが今日はその心配もない。
 
無事にC2に到着し荷物をデポした後、C1に戻って行ったが自分は熱中症っぽくなってしまい下山途中かなりスローペースになってしまった。
C1に戻って来たときに他の隊員から氷嚢を作ってもらい、それを首や脇にあてて休憩しているとだんだんと体調はよくなっていって一安心。

 
 

C1からC2のルート。
 

 

雪庇が左側に出ている。
 

秀麗な頂
 

とんがったいかつめの山
 
 
 
遭難事故発生→登山活動停止
 
6/11 C1をスタートしC2に向け荷上げ開始。
 
早々に先発隊より同じタイミングで入山していた別の日本人隊の遭難事故の知らせが入る。
 
我々は救助のめどがつくまで登山活動停止することを決定。
 
装備やテントはそのまま残し、全員BCに撤収。
 
ロープやスノーバーなどのクライミング道具を救助隊のハイポーターたちに貸し出すなど、可能な限り救助のサポートに努める。
 
 
 
登山活動再開
 
忘れられない大きな出来事があり、我々のチャレンジについても隊の中で様々な話し合いがあったが、やはり我々にとってもこのままでは終われないという事で、一区切りがついたところで登山活動を再開することにした。
 
 
残り日数からするとこれが最後のチャンス、今回のアタックを失敗したらやり直す時間は僕らには残されていない。
 
 
 
BC→C2(5300m)へ
 
6/17 行動中は天気が良く寒さよりも日差しの暑さに悩まされる感じであった。しばらくBCにいて何もしていなかったので久しぶりの行動は体にこたえる。
 
ゆっくり行動に終始しつつなんとかC2に到着。
 
隊員の体調も悪くなくここまで順調に進んできた。
 
自分以外は。。。
 
ここに書こうか迷ったのだが、実は出発前、昔から痛めていた右ひざを3週間くらい前に悪化させてしまい全治約1ヵ月の骨挫傷と診断されていた。
この状態での遠征の参加、実際非常にいくかどうか悩んだ。
 
ただ、やはり自分にとっての大きなチャンスなので、どうしても諦めきれず隊のメンバーにはしっかり報告したうえでここまでやってきたのだった。
 
キャラバン開始からここまで、サポーターのおかげもあり運よく痛みが出てこなかったが、疲労が蓄積していたためか今日登っている途中にまた痛みが出てきてしまった。
 
このままの状態で進むにはペースが遅くなるのは間違いない上に、進んだ先でさらに痛めて下山することが厳しくなることも想像できた。
 
どちらにせよ自分がいると他の隊員に迷惑がかかることは避けられない。
 
自分はここで撤退を決断。
 
情けない終わり方となってしまったが、自分が招いたことなので仕方ないという気持ちで泣く泣く諦めることに。。
 
 

そんな中、到着してから次第に天気が崩れ始め、夕方には雪が降り始め夜には雷の音が聞こえるようになってきた。思っていたよりも天気が悪く少し不安になる。明日は他の隊員がいよいよこの山行の核心部に入るので、このままの天気だと明日はどうなのか・・
不安な気持ちを押し殺しつつ、明日は2時起床4時出発とし、早めに就寝。

 
 

出発の時。
 

 
 
 
苦渋の決断
 
6/18 2時起床 まだ外は暗い状態ではあるが辺りはホワイトアウト状態、雪も絶え間なく降っている。残念ながらこのままではこの先進めることは出来ない。。。
 
天は僕たちに味方してくれなかったようだ。
 
このまましばらく状況を見ることとし、外が明るくなり改めて状況を確認するとやはり雪がかなり積もっている。この積雪量だと急斜面の雪崩リスクが高まっていることが予想され、雪が落ち着くまで待たないと安全な行動が出来ない。
 
だが、僕らにそれを待っている日数は残っていない。
 
この時点で隊全体としての撤退が確定してしまった。
 
色々なことが重なりこのような結果になってしまったのは運命?だったのかもしれない。
 
 
 
C2→BCへ
 
6/19  各自様々な思いを抱えながら下山を開始。
 
昨日とうって変わって、この日は非常に天気が良い。こんな日に下山しなければならないのはちょっと恨めしい感じもあったが、下山中も天候が悪ければ視界が無くて雪庇を踏み抜くリスクがあるよりはましかもしれない。
 
C2に荷上げしてきた大量の装備を持ち帰らなくてはならないため、各自のザックはパンパンでずっしりと重い。ゆっくり歩き、スパンティークの姿を目に焼き付けながらBCまで。
 

大量の荷物を担いで下山

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